はじめに
プライバシーやセキュリティ保護のメッセージを全面に押し出した最近のiPhoneのTVCMを目にした方も多いかと思います。
また、先日iOS14のリリースと共に導入予定だった「IDFAのオプトイン方式への変更」を来年まで延期することを発表したAppleですが、今回のプライバシーに配慮した各種変更はOpenRTBにも影響を及ぼしているようです。9月16日付のIABTech Labのブログ記事 「WHAT YOU NEED TO KNOW: IOS14 PRIVACY CHANGES AND OPENRTB(iOS14のプライバシー変更とOpenRTBについて知っておくべきこと)」 のサマリーをお届けします。
iOS14のためのOpenRTB拡張
前回の記事「IABの視点から見るiOS14の変更点と影響」で詳細を説明していますが、iOS14のプライバシー関連アップデートはアプリ内広告やアトリビューションの仕組みにも影響することが分かりました。IAB Tech LabのProgrammatic Supply Chain Working Groupでは、これらのアップデートをサポートするためにOpenRTBの拡張機能セットをリリースしています。
以下の説明とともに拡張機能の概要が記載されています:
「(iOS14について)Appleの仕様書では、iOSとのインターフェース方法(アプリのIDFAプロンプト、IDFVの使用、SKAdNetworksの登録、広告への署名など)が記載されていますが、広告配信に関わる様々なエンティティ(SDK、SSP、エクスチェンジ、DSP…)間の通信をOpenRTBを使用してどのように定義すべきかについては明記されていませんでした。IAB Tech LabのProgrammatic Supply Chain Working Groupでは、これらの機能を広告配信サプライチェーン全体でサポートするための仕様を作成しました。」
拡張機能にふくまれるもの:
- パブリッシャー、SSP、DSP、および仲介者間で SKAdNetwork 情報を通信するための
Bid Request および Bid Response オブジェクトの拡張機能 - IDFVとAppTrackingTransparencyの認証ステータスを通信するための、
Deviceオブジェクトへの拡張機能 - 開発者がInfo.plistを管理し、様々な広告SDKと連携するためのガイダンスとツール
さらに、上記 1 では現在基本的なサポートを提供しているものの、SKAdNetwork IDのリストが長すぎて全ての IDを渡した場合にOpenRTBのペイロードが非常に大きくなる問題を認識しており、より効率的な2つの代替案を用意していることも注記されています。
※拡張機能の詳細は こちら。
iOS14への対応としてIAB Tech Labが呼びかけること
まとめとして、IAB Tech Labでは iOS14のための対応として以下を業界に呼びかけています。
- SKAdNetworkに対応して広告への署名を行う予定がある場合は、すぐにSKAdNetwork IDを登録すること。
- SKAdNetwork IDの基本リストの通信をサポートする拡張機能を実装すること。
- IDFA認証ステータスのテストをしてみること(該当する場合は IDFVも)。
- SKAdNetwork ID を通信するためのより効率的なオプションについて、リストの長さや、さまざまなパートナー間でのリストのばらつきについての考えを含めて、IAB Tech Labにフィードバックを提供すること。
IAB Tech Labでは10月16日まで今回公開した拡張仕様へのフィードバックを募っています。
参考記事:https://iabtechlab.com/blog/what-you-need-to-know-ios14-privacy-changes-and-openrtb/
IAB Tech Labについて
IAB Tech Lab (The IAB Technology Laboratory) は、米国のインタラクティブ広告業界団体であるIABが設立した、デジタルメディアとデジタル広告業界におけるグローバルな技術標準の確立と導入を促進するための国際的な研究・開発のコンソーシアムです。CCIは2017年1月からTech Lab会員となっています。