「人々の当たり前の基準を上げる」基盤を作る 〜 CARTA MARKETING FIRMの進化を生み出す経営基盤の在り方 〜

マーケティングパートナーとして企業の成長を支えるCARTA MARKETING FIRM。4社統合を経て新たな段階に進む同社では、データドリブン経営の実現に向けて基盤からの改善を行っています。前編ではCTO兼DX推進局長の河村が目指す未来を、後編ではコーポレートエンジニアの石切山がデータ経営への取り組みと展望を語ります。

登場人物

河村 綾祐(かわむら りょうすけ)

CARTA MARKETING FIRM CTO 兼 DX推進局 局長。2005年よりインターネット広告業界でキャリアを積み、SIer、HR自社サービス開発、外資スタートアップ広告配信事業の日本ブランチにおいてCTOを務めた後、CARTA HOLDINGSにて現職。

CARTA MARKETING FIRMの変革:4社統合がもたらした課題

--まず、CARTA MARKETING FIRMについて簡単にご紹介お願いします。

CARTA MARKETING FIRMは2023年10月、4つの広告関連事業子会社を統合して誕生しました。この統合により、社員数は120人から240人へと人数が倍増しました。広告主向け広告配信プロダクトの開発だけでなく、海外展開も含めたプロモーション支援事業まで巨大なマーケティングパートナー組織へと進化しています。

4つの広告事業関連 事業子会社の統合

しかし、急激な成長は新たな課題も生み出しました。例えば各社で異なる業務管理方法やデータ形式が混在し、全体の経営数値を把握するのに多大な労力を要する状況になっています。特に統合後は、データの一元管理がより重要な課題となっていますね。

–CARTA MARKETING FIRMの強みについて教えていただけますか?

CARTA MARKETING FIRMの強みは、マーケティングパートナーとしての知見と自社プロダクトの技術力、その総合力です。でも、その力を最大限に発揮するには、まずは社内のデータ基盤やワークフローを抜本的に見直し、データドリブンな経営ができる状態に持っていく必要があります。

--4社統合後の状況について、詳しく教えていただけますか?

統合前は各社がそれぞれの方法で業務を進めていました。特に会計処理に関しては項目も各会社ごとの方法が確立しており、データの形式もそれぞれ異なっていました。そのため、月次の集計作業では、各社から上がってきたデータを手作業で突き合わせて、全体の数字を出すという非常に手間のかかる作業が発生していました。

そのような手間のかかるプロセスでは、何かしらのエラーが起きやすいリスクをはらんでいる状態であると言えます。そのため、会社全体としてどういう傾向で事業が伸びているのか、次にどういう施策を打つべきなのかが見えづらい状況でした。特に部門を跨ぐような内部取引については、財務会計上は相殺されても、事業部ごとの管理会計では売上や原価の計上方法が異なり、その調整に膨大な時間がかかっていました。

--そこでどのような解決策を考えられたのですか?

本来なら、取引の事実だけを正確に記録し、一箇所のデータウェアハウス(DWH)に集め、データがほしいときはクエリを投げれば終わる話だと思います。いわゆるSingle Source of Truthですね。 ですが、それを実現するまでの道のりは決して簡単ではありません。なぜなら各部門には長年培ってきた業務の進め方があり、それを急激に変えることはできないからです。丁寧な対話を重ねながら、業務プロセスを見直し、何を残して何を変えるのか、慎重に判断していく必要があります。

これを改善するために、以前は シート管理していたデータを一元化する作業を進めています。これは単なるツール移行ではなく、CARTA MARKETING FIRMの経営管理における本質的な課題への取り組みだと思っています。

「人々の当たり前の基準を上げる」ための基盤づくり

--DX推進局の使命について教えてください。

DX推進局の使命は「人々の当たり前の基準を上げる」ことです。具体的には、Salesforceの活用促進、データ分析基盤の整備、各部門との密な連携による業務フロー改善などを進めています。

--「人々の当たり前の基準を上げる」ためにやっている、現在の大きなプロジェクトは何ですか?

今取り組んでいるのは CARTA MARKETING FIRMにおける会計及び営業業務フローの大規模な改革です。これは単なるシステム移行ではなく、経営基盤そのものを変革するプロジェクトになります。

急成長と4社統合によって生まれた課題は、一朝一夕には解決できません。広告業界特有の複雑な取引形態や、頻繁に変化する市場環境への対応、また海外拠点との取引があるため国ごとに異なる税制や法規制に対応しながら全体の数字を正確に把握する。これは想像以上にチャレンジングです。でもそれこそが、私たちの仕事の面白さでもあるんです。この課題を技術の力で解決していく。それが、CARTA MARKETING FIRMの未来を作ることにつながるとおもっています。

--データドリブンな経営基盤ができるとどのような世界が実現できると思いますか?

データを用いた意思決定ができるため、より事実に基づいたリーンな経営が可能になると思っています。

例えば、配信プロダクトZucksでは、案件ごとの情報は詳細に持っているものの、クライアントそのものの情報、つまりクライアントのメタデータや代理店のメタデータを集約して一元管理(マスターデータ)化することはやってきませんでした。

本来であれば、そういった 「事業に関係するさまざまなデータ」がきちんと管理されDWHに入っている状態でこそ、データマネジメントやデータ分析による意思決定が可能になります。そのため、まずは業務フローを整理し、データを正確に入れる流れを作り、それを1つの場所にまとめる必要があります。経営分析ができる程度にデータが集約される業務フローを作り、分析可能な状況になっていないと、Data Opsの実現は程遠いと思っています。 ここまでの基盤ができて、やっとAI活用も視野に入ってきます。

このような課題は、ファイナンスだけでなく、HRや法務領域でも同様に存在していて、事業がスピード感を持って、かつ安全に前に進められる仕組みを作る必要があります。ただ、この規模の組織でスピード感を持って一気に切り替えるのはタフです。だからこそ、システムを完全に置き換えるリプレイスではなく、段階的に改善していくリアーキテクティングアプローチを取っています。

--なるほど。組織の営みを根底から変えるチャレンジに向き合っていることが伝わってきました。ありがとうございました。

次回予告:具体的な取り組みと未来像

次回は、DX推進局が実際に取り組んでいる施策の詳細に迫ります。データ活用の舞台裏、データドリブン経営を実現するための仕組み作り、そしてCARTA MARKETING FIRMが目指す「データドリブン型のマーケティングパートナー」の姿とは?そして、その実現に向けてコーポレートエンジニアはどのような役割を果たすのか?など今後の展望について、甘んじず現場で向き合う石切山さんに詳しくお話を伺います。


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