この記事は CARTA アドベントカレンダー 12/25 担当です🎄
CARTA 技術広報 しゅーぞーです。 今年から専任の技術広報になりました。
この記事は、 広範な「技術広報の仕事」をCARTAとしての視点からまとめる試み です。 CARTAの技術的な魅力を伝えるために、フルサイクル的に領域を限定せず「技術を広めるための仕事は全部やる」スタイルで1年ほど奮闘 しておりました。
この記事では、その過程で見つけ出した発見を「コツ」としてまとめます。
広報はよく
- 成果が分かりづらい
- 成果を定量的に測りづらい
と言われます。なので、 フィードバックサイクルを回すために「どうやってフィードバックをもらうか」もまとめています。
その仕事の広さゆえに記事自体も長いです...が、1年目の振り返りも込めて書いていきます。
この記事で一番伝えたいこと
- CARTA技術広報のざっくりした担当範囲
- 仕事の範囲広いけど、価値提供フローを全担当すると段違いに解像度上がる
- 数字も大事。だけど量をこなして、振り返りで「周りの声」からフィードバックを得るとよさそう
読んでほしい人
- 今から技術広報やろう・なろうとしてる人
- すでに技術広報やってて、他社の技術広報がやってることを知りたい人
前提
- CARTA技術広報は専任1名(私) + 兼務 数名でやっています
- 全てを1人でやってるわけではなく同僚と上司とワイワイやっております
そもそもフルサイクルってなに?
CARTAはフルサイクル開発を体現しています。経験値の蓄積を促進し、顧客への価値提供を最大化するために採用しているプラクティスです。
そもそも 「フルサイクル開発って何?」って話ですが、原典である Netflixの 「Full Cycle Developers at Netflix — Operate What You Build」 によると
Full cycle developers are expected to be knowledgeable and effective in all areas of the software life cycle. But he “real job” of full cycle developers is to use their software development expertise to solve problems across the full life cycle.
フルサイクル開発者は、ソフトウェア ライフ サイクルのすべての分野について知識があり、効果的であることが期待されます。 フルサイクル開発者の「本当の仕事」は、ソフトウェア開発の専門知識を活用してライフサイクル全体にわたって問題を解決することです。
つまり 「開発者はプロダクトのライフサイクルに関することを全部やろう」 って話ですね(強い)。
詳細を読んでいくと 「全体に関わってちゃんとフィードバックから学習サイクル回そう」と読めます。
それだけ聞くとPDCAやOODAに近く、 職種に関係ないプラクティスとして受け止められます。ってことで 広報でありながらフルサイクルっぽくやることも出来る んですよね。
ってことでやったことの詳細を書いてみます。
Dev Rel・技術広報の仕事を知ろう
その前に。
きっとみなさん、Dev Rel・技術広報の仕事ってあまり馴染みがないですよね? それについては、smartHRさんが素晴らしい記事を書いているのでご一読ください。 めちゃくちゃ参考になりました!ありがとうございます!
一般的なDev Rel・技術広報の仕事
元記事いわく、大きく分けて4つあるらしいです。詳細は元記事を頼るとして、簡単化して言うと以下の図のように言えます。
CARTA技術広報の仕事
特に CARTA技術広報は「テックブランディング」「インターナルサポート」が主軸 です。
語弊を恐れず言い換えると、CARTA技術広報は
「CARTAの外にも中にもCARTAのエンジニアリングすげー!」
って思ってもらう仕事をしています。最終的な目的はエンジニアの採用強化であり、フルサイクルもそのために採用しています。
ざっくりこんな感じの流れで、組織中を温めて、会社の外に熱🔥を伝える仕事ですね。
CARTA技術広報の具体的な仕事
おそらくDev Rel・技術広報の仕事についてなんとなくわかってもらえたような気がします。では、 実際にCARTA技術広報はどんな仕事をしているのか? 具体的に見ていきましょう。
テックブランディング
CARTAの技術力を社外に知ってもらい「スゲー!」って思ってもらうために以下を行っています
- メディア運営
- イベント
- カンファレンススポンサー・登壇
ブログ
2023年は約80本のテックブログをリリースしました。ざっくりカテゴリ分けしてみると、 大きく分けて2種類あり「エンジニア執筆」と「広報企画」に分かれます。
エンジニア執筆
エンジニアが自ら執筆してくれる記事の場合は、レビューをしたり煮詰まったときの壁打ちをやっています。一緒に話しながら書くことで主旨が整理されまとまりやすくなるようです。 直近だと CMF テックリード, CTOと共に記事を執筆しています。
広報企画
広報企画ネタは新卒・中途インタビューや「文化・福利厚生」ネタが代表的なものです。また、イベントや日常に起きる出来事をレポートしたり、人事から来た依頼を倒すのも仕事です。
具体的には 長期休暇 や ランチのお弁当制度 といったゆるいものや 新卒研修ネタ など様々です。
テックブログのコツは「誰よりも熱くなる」こと
盛り上げるコツは「担当が誰よりも熱くなる」こと です🔥
- とにかくやってくれたことを褒める
- いいネタだと自分が信じて、エンジニアを応援する
- 鉄は熱いうちに打ち切る。レビューは最速 で
- エンジニアが書く社内ブログは基本全部読む
日常に転がっているいいネタを出すために 一番必要なのはKIAI (気合)だったりします...がんばれ...私...。
それらを大切にすべきと気づいたのは「仕掛りのままだと、人のコストを無碍に奪ってしまう」と気づいたからです。
せっかく書いてくれたものへのレビューが遅れたり、リソースが取れなかったりして世に出ないものもいくつか生みました。それらも素敵なものだったからとても悔やまれますし、申し訳ない気持ちでいっぱいです。やはり 最後は「出し切る気合」が必要 だと気づきました。
アイキャッチも多分30-40枚くらいつくりました。こればっかりは楽しい。
ブログ・アイキャッチ制作で気をつけてることをまとめて登壇してきました。思わず目にとまるコンテンツの作り方、届け方
マルチメディア企画
今年は新たに 同じネタをマルチメディアで展開する企画 をやっていました。
ざっくり流れとしては
CARTA技術広報チームは専任の私 + 兼務メンバー数名。チーム全員で手分けして制作を行っていました。
コツは...「コンテンツの型を決める」「可能な限りAIを頼る」でした。制作周りはたたき台を私が作ってチーム展開する形に。制作フローも物によっては半分くらいAIを使っています。どこにも知見がない中、一緒に作り上げていたチームメイトの皆さんが本当にすごい。
制作自体は超大変だったけど、チームのコラボレーション度がかなり上がりました。配信企画は社内エンジニアからも好評でした。ほんとにやってよかった。数字や現場FBはこれからですね。やっていき。
イベント
広報活動においてイベントは欠かせない存在です。CARTAも2023年で8回行いました。
CARTAが行っているイベントは、 大別すると「主催イベント」と「会場スポンサー」に分けれます。 大きな違いは「企画をCARTAが考えるか、社外からもってきていただくか」の違いです。ややこしくなるので詳細は省きます。
イベントのコツは「違和感の少ない環境を作る」こと
イベントのコツは 「違和感の少ない環境を作る」ことを意識する ことでした。
登壇者の方々が素晴らしいコンテンツを持ってきてくれます。来てくれた方々にそのコンテンツから学びを得て帰ってもらうために、ノイズとなる違和感はできるだけなくしたい。
だから イベントを提供する立場である広報は「体験の質を損なわない」ことに全力で注力していれば大丈夫 なんだと、何度目かで気づきました。
- イベント会場への導線が分からず迷わせたり
- 途中で配信が止まってしまったり
- 懇親会の始まりが分からず混乱させたり...
たくさんの失敗をして気づきました。
そのノウハウもまとめて登壇しております。こちらから参照ください: 内製ハイブリッドイベントの創り方
人数に関しても、リーンに削ればスタッフが3名ほどいれば多分なんとか回ります。 ですが、人多いほどワイワイ感が出て良いイベントになりやすくシンプルに楽しいですね!
(会場スポンサーの提供は公募しておらず、紹介の方に限定させてもらっています。すみません🙏 )
カンファレンススポンサー・登壇サポート
広報といえばカンファレンス!
CARTAも何度かカンファレンススポンサーをやっておりました。2023年はブース出展を行わなかったため「登壇サポート」「カンファレンスにまつわる制作・イベント」を主に担当しました。
登壇サポート
カンファレンススポンサーはプランによって登壇枠をいただけます。 そこで、今年は多くの登壇資料作成サポートをやっていました。登壇者といっしょに話したいことをブレイクダウンしていきます。
コツは2つあって「主軸を決めること」と「MTGで話しているその場で図示していく」こと でした。
長いセッションは軸がぶれて発散しがちですし、なんだかんだ同じものを見て同じ言葉で話すとすんなりと物事は決まっていくものです。
いつもの流れは以下。
- ネタぎめ
- 3回くらいMTG
- 登壇練習してちょっと修正
- 本番
MTGで主軸となるコンセプトと図を作り切ってしまい、後はマイナーチェンジで当日まで一緒に詰めていく。そんな感じで進めるとイイカンジに進むことがわかりました。
CM動画
今年はISUCONで利用するCM動画を新調しました。 実は企画・撮影〜編集まで全て広報チーム内製で作っています。
コツは 「撮影前にコンセプトと荒い完成形を作り、関係者と合意形成しておく」ことでした。 これは大失敗から学んだ教訓です。
素材を撮った後からコンセプトを変えようとしたり、再撮影しようとするとエンジニアに迷惑がかかります。シンプルにスケジュールが押し、現場に混乱を招き、関係者に迷惑をかけます。実際にそれをやろうとしてめちゃくちゃ迷惑をかけました...すみませんでした...orz
さて、実は撮影に使用したカメラはiPhoneです。まじですごい、iPhone。
派生イベント
カンファレンスやコンテストに出ただけではもったいない!
ということで、その 派生イベント を行いました。これはCARTAのISUCON参加エンジニアをあつめて、@soudai1025 さんとISUCON13を振り返るイベントを作りました(当イベントは、大本の運営の方に連絡した上で実施しております)。
コツは... 「事前に何を話すか軸をちゃんと決めておいて、参加者に事前に思い描いてもらうこと」 でした。しっかりと要点を洗い出しておくことで初めて登壇したエンジニアたちも、そーだいさんのファシリテーションに支えられスムーズに話せていました。
これは裏話ですが、ISUCONの中の人が視聴者としてプライベート参加してくださり、コメントで大いに盛り上げていただきました。その節はありがとうございました!
インターナルサポート
さぁ やっと外向けの話が終わりました。 ながい...w ということでお気づきなように、広報の仕事範囲は広大です。次は内向きの仕事について書きます。あと一息!
ここまで読んだ人は最後まで読んでいってくださいね!
ナレッジシェア・交流会
CARTAは20近い事業体があり、エンジニア組織がある事業だけでも10近くあります。このため、 社内ナレッジに分断が起きやすい わけです。ジュニア〜ミドルエンジニアまでの半期の仕事内容を全部読める 技術力評価会 という制度もありますが、それでもナレッジシェアには限度があります。
ということで
- 技術責任者が登壇する会
- 若手エンジニアが登壇する会
をCTO室が企画し社内イベント化しました。 結果、めちゃくちゃ盛り上がりました...!!
実際に運営として関わっていて思ったのは「シニアエンジニアの仕事ぶりがわかる、若手のいい仕事がわかる組織はめちゃくちゃ見通しが良い」ということ。 横と縦が融解して一体感が生まれた組織は強いです。
ちなみに若手エンジニアの発表内容はこちらにまとまっています。
新卒研修・振り返り
あとは、細かい仕事として新卒の育成制度・企画を支える仕事もやっています。
新卒エンジニアからすれば「入ったらどういう感じでオンボーディングされるのか」は気になるところでしょう。 そういうイベントを支えて、ついでに外からも見えるように可視化していくのも広報の仕事でした。
社内イベントレポートのコツは「サクッと撮ってサクッと書く」こと。 その場で書いてしまってレビューを投げてその場でリリースすることを目指します。レポートは忘れちゃうので、手が早いのが一番大事です。
仕事内容については以上です。
どこがフルサイクルなの?
冒頭で、 フルサイクルは「全体に関わってちゃんとフィードバックから学習サイクル回そう」といってる と伝えました。
これらのどこがフルサイクルなのか。実はコツと書いたことは全て「この1年で失敗から学んだこと」でした。
私にとっては、広報の仕事はほとんどが新しいこと・やったことがないことでした。 趣味でやってたことも一部あるけど、仕事でやるのは趣味と訳が違います。だから、めちゃくちゃ失敗したし周りの人にも迷惑をかけました、本当に。だからこそ、 失敗に真摯に向き合った結果、得たものが多くあった んですよね。
広報はよく「成果が分かりづらい」や「成果を定量的に測りづらい」と言われます。だから 効果的なフィードバックサイクルを作りづらい んですよね。なので 「フィードバックサイクルを回すこと」に一番苦心 しました。
フィードバックは「人の声」を信じよう
では、どこからフィードバックを得ればよいのでしょうか。
自分にとっては、よく言われる「数字」からのFBだけではなく、 「人の声や体感」からのFBがとても大切 でした。
- 社内からの反応の声
- エンジニア友達からの反応
- 社外からのイベントリピートの声がけ
- イベントのアンケート結果・満足度
- インターンに来ている学生にヒアリング
- 社内エンジニアからの壁打ち相談やレビュー依頼
- 面接に立つ人事からみたコンテンツの使いやすさ
こういった「数字に現れないフィードバックポイント」を貪欲に拾う姿勢が必要でした。
数字的なデータは例えば
- ブログならGA4の数字
- コンテンツの再生数
- イベント来客数や満足度
などで計測可能です。しかし、多くの場合、1回1回の仕掛けはそこまで大きく跳躍しません。 たまにとても伸びる記事があってもすぐにしぼんでいきます。
だから 「数字で一喜一憂しない」姿勢が常に求められる ことがわかってきました。
数字はあとからついてくる
1年くらい数字をあまり気にせずにとにかく量をやってみると「徐々に右肩上がりで推移する」ことが見えてきました。
また、貪欲にFBもらって改善していくと、数字的な成果がついてきて頑張ってる姿勢を応援してくれるエンジニアが増えて、どんどん頼ってくれる ようになってきました。
でも、それらが体感できるのは社内や社外の「定性的な評価がついてきたあと」だったりします。体感としても、評判や数字がついてくるのは3~6ヶ月くらいズレる 気がしています。
だから 目の前の人に向かって全力で頑張ってコミットしたほうが、広報は数字が伸びやすい気がしますし何よりその方が楽しい!
ということで2024年も頑張っていこうかな、という所存です。ちなみに、僕が担当した中で2023年で一番伸びた記事は「お弁当」の記事でした!技術関係ないじゃん!w
ってことで、長くなったので以上です!! 読んでいただいてありがとうございます!