人工知能学会誌の特集「広告とAI」にZucks Ad Networkの取り組みを寄稿しました

hagino3000です。今週はカナダで開催中のKDD2017に参加しています。

人工知能学会誌の7月号の特集「広告とAI」に「アドネットワークにおける広告配信計画の最適化」という記事を寄稿しました。軽く内容を紹介します。

【会誌発行】人工知能学会誌 Vol. 32 No. 4 (2017/07) – 人工知能学会 (The Japanese Society for Artificial Intelligence)

内容について

導入はインターネット広告事業のタイプ(SSP, DSP, アドネットワーク, etc.)とそれぞれの役割を紹介。中でもアドネットワークは媒体社と広告主の両者の要望を満す必要があるため、広告効果と媒体社収益の2つが要件になる事を説明しました。
インターネット広告を例に出す論文は「クリック課金型広告においてはクリック率の高い広告を出せば良い」という設定をしばしば持ちだします。そのせいかアカデミアの人と話をしていると「ネット広告って、バンディットでクリック率の高いバナーを出していくだけでしょ?」と言われる事があります、が実際はそんな事無いです。

配信する広告を選択する方策については「活用と探索のジレンマ」に軽く触れた後に、広告配信の設定に適用しやすいバンディットアルゴリズムの手法であるThompson Samplingを紹介。報酬を クリック単価×クリック率 とした時の手続きを例に挙げました。

最後にCPA1を制約として媒体社収益を最大化する方策についてまとめています。 記事中では簡単のためにCPAを制約としましたが、広告主が求める効果はCPAに限らず流入ユーザーの継続率やROAS2であったりもします。後者の方がサンプルサイズが小さいため、制約の難易度はより高くなります。

まとめ

今回は地味な内容となりましたが、プロダクション未投入の新奇性のある内容も出せていければと思っています。 「広告とAI」特集の他の記事だと、理研AIP 前原氏による「ディスプレイ広告に対するリアルタイム入札」はRTBの入札戦略を離散最適化で解いているのが面白かったです。RTBの入札戦略を俯瞰している日本語の文章は他に見た事がないので、その点でも貴重だと感じました。

AI書庫へのリンク


  1. コンバージョン獲得1件あたりのコスト

  2. 広告経由で流入したユーザーによる売上を広告費用で割った物