執筆者
2022年 CARTA HOLDINGSに入社。株式会社テレシーにて機械学習・ML Opsを主担当。現在、開発本部 データプランニングチーム リーダー。
はじめに
はじめまして。株式会社テレシー でデータサイエンスエンジニアとして働いている ohyan (@ohyan) です。現在は、データプランニングチームのチームリーダーを兼務しており、データ基盤周りの開発を担当しています。
今回は、テレシーが推進するリーンなソリューション開発を支えるデータ組織戦略についてお話しします。
リーンなソリューション開発
まず、テレシー開発本部のミッションについてご紹介します。テレシーでは、企業の「マーケティング戦略」を支える、実用的で使いやすいサービスやプロダクトを提供することを目指しています。
「テレシーアナリティクス」というプロダクトを提供しており、テレビ CM 効果計測を行うためのソリューションです。テレビ CM の効果をデータで可視化し、マーケティング戦略の最適化を支援します。
直近は、新たな分析ソリューション「ダイレクトレスポンス分析」がリリースされ、特許も申請しました。テレビ CM における即時反応をリアルタイムで分析・可視化することが可能になります。テレシーアナリティクスの一部を掲載します。
「テレシーアナリティクス」に加えて、顧客ごとのマーケティング課題に合わせたデータドリブンなマーケティングソリューションも提供しています。従来は多くの労力を要していた課題に対し、最新技術を駆使して「実効性」と「効率性」を両立するソリューションを生み出しています。
ソリューションのマーケットフィットを高めるためには、データプランニングを含めてトライアンドエラーを繰り返していくことを重要視して、リーンなソリューション開発を目指しています。
テレシーが取り入れているリーン開発のプラクティスは以下の通りです。
- ファーストリリースをできるだけ早く行う
- 分析要件の変更に対して柔軟に対応できるような初期設計を行う
- ソリューションに関する仮説と検証を繰り返す
これらを支えるためには、デジタルマーケティングのソリューションの原点となるデータ基盤の構築が不可欠であり、データ組織の強化が求められます。
「データプランニングチーム」新設への想い
今年6月まで、データ基盤の設計や統括は開発部が担当していましたが、ソリューションを開発するデータサイエンス部門のデータサイエンティストとの距離感が遠いとの課題がありました。そこでデータサイエンス部のメンバーが使いやすいデータ基盤を構築するために、データプランニングチームを新設しました。
チーム名は、あえて「データチーム」を採用せず、ビジネス価値を生み出すためのデータ基盤を構築しようという想いを込めて、「データプランニングチーム」と名付けました。
ビジネス価値の定義としては、「実効性」と「効率性」を重視したマーケティングソリューションを作り出すことが可能なデータアーキテクチャの構築を定義しています。一言で言えば、データサイエンティストが簡単にデータを活用できるようにすることです。
テレシーは顧客の Google Analytics やモバイル計測ツール adjust、AppsFlyer からデータを取得し取り込んでいます。それ以外に、テレビCMの視聴率データや、配信実績データなども調達しデータウェアハウスに蓄積しています。
これらのデータを統合し、ディメンションモデリングという技法を用いて、データ基盤を構築することがデータプランニングチームの役割です。
テレシーのビジネス構造を考えると、データ基盤はあくまで情報を集約する場所に過ぎません。その後、データをどのように活用するかが重要であり、ビジネスプロデューサーによるマーケティング戦略や、データサイエンティストによる独自のアルゴリズムの開発へと繋がります。
作り込んだデータ基盤より、チーム間の会話の結果をデータとソリューションに迅速に反映できるようなデータ基盤を構築することが求められています。私は、このような考え方を business-centric
なデータ基盤と呼んでいます。
モダンデータスタックによるリーンとスケーラビリティの両立
スピーディーな開発を重視する一方で、データ基盤のスケーラビリティも担保する必要がある点に着目しています。
我々はモダンなデータスタックを導入しており、利用するデータの種類と量のスケーリングと同時に、データの品質やソリューションの再現性を担保するための取り組みを行っています。
テレシーが導入しているデータスタックは、 Snowflake
、dbt
、Fivetran
などのモダンなデータスタックで構成され、各ツールのベストプラクティスを取り入れてデータ基盤を構築しようとしています。 DataOps
に関する開発と運用はできる限り属人化を排除し自動化を進めることで、スケーラビリティを担保しています。構築しているアーキテクチャは以下の図の通りです。
直近での具体的な取り組みは、CI/CD
の自動化、データの品質を向上させるためのテストの導入、データ利活用するためのドキュメントの整備などが挙げられます。
中長期課題としては、データ品質を保守するための Data Quality
のフレームワークの構築と保守運用だと考えています。Garbage in、 garbage out
の原則を踏まえ、各リソースのデータは統合されたデータ基盤においてどのような品質であるべきかを定義し、その品質を保つための仕組みを構築しています。データを細かく観察する必要がありますが、ロバストで使いやすいデータ基盤を構築するためには欠かせない取り組みです。
スケーラビリティ課題に対して、アプリケーション開発チームからリソースを借りることも視野に入れています。データプランニングチームの立ち位置としては、データサイエンスチームとアプリケーション開発チームの間に位置しているため、データ基盤のスケーラビリティを担保しやすくなっています。
データプランニングチームで働く上での楽しさ
テレシーの開発組織は、業務委託を含む13名で構成されており、その中でデータプランニングチームは3名という少数精鋭のチームです。小規模なチームであるため、データサイエンスチームやアプリケーション開発チームと密接に連携しながら、新しいソリューションを模索する機会が多くあります。また、業務範囲も広く、メンバーが積極的に新しい役割や技術に挑戦できる場が整っています。
さらに、技術スタックや新しいテクノロジーに果敢に挑戦できる環境も整備されており、最新技術の導入だけでなく、それを活用して新しい価値を生み出すことが求められています。自分のアイデアや技術的な好奇心を存分に試し、それをプロダクトに実装して形にしていく挑戦ができるのも、このチームで働く大きな魅力です。
カジュアル面談のお知らせ
今回の記事を通じて、テレシーが目指すリーンなソリューション開発と、それを支えるデータ組織戦略をご紹介しました。
データ利活用を通じたソリューション開発の組織やプロセスに興味がある方は、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
まだ詳細に触れられていない部分も多くありますが、今後さらに詳しくお伝えしていきたいと思います。
テレシーは現在、データエンジニアの採用に力を入れています。カジュアル面談からも対応可能ですので、興味のある方はお気軽にご連絡ください。