【ランチ登壇全文】TSKaigi 2025 にゴールドスポンサー協賛 & 登壇しました!!!

CARTA HOLDINGS 技術広報しゅーぞーです!

2025年5月23日から24日にかけて、東京・神田のベルサール神田にて、国内最大級のTypeScriptカンファレンス「TSKaigi 2025」が開催されました。株式会社CARTA HOLDINGSは、TSKaigi 2025のゴールドスポンサーおよびランチタイムスポンサーとして協賛しました。その模様をレポートします!

🤔「TSKaigi 2025」とは

🎯ミッション

「TSKaigi 2025」は、「学び、繋がり、”型”を破ろう」というミッションを掲げ、2024年に初開催され大成功を収めたTypeScriptカンファレンスの第2回目です。

「初心者から経験豊富な専門家まであらゆるレベルのエンジニアが自由に交流・共に成長できる場を提供し、TypeScriptに関わるすべてのエンジニアが生き生きと活躍できる世界を創り出すことを目指している」そうです!

2025.tskaigi.org

✨ 開催概要

  • 開催日:
    • 2025年5月23日(金)~ 5月24日(土)
  • 形式: 現地参加およびオンライン配信のハイブリッド形式
  • 会場: ベルサール神田
  • 主催: TSKaigi実行委員会

🤝 ランチセッションで @yokkori_dev が登壇!

CARTAからは Lighthouse Studioのリードエンジニア 横沢諒(@yokkori_dev) がランチセッション登壇!

※ 画像の著作権はTS Kaigi 2025に帰属します

登壇した全文レポートをお届けします。

speakerdeck.com

自己紹介

Lighthouse Studio リードエンジニア横沢諒 (@yokkori_dev)

「撤退危機からのピボット: 4年目エンジニアがリードする TypeScript で挑む事業復活」というタイトルで、CARTA HOLDINGS Lighthouse Studio リードエンジニアの横沢諒が発表します。

よろしくお願いいたします。

略歴としましては、2022年にCARTA HOLDINGSに新卒で入社し Lighthouse Studioに配属され、「神ゲー攻略」を担当するエンジニアになりました。2023年から新規事業の立ち上げに参加し、2025年現在は事業内でリードエンジニアとしてチームを牽引しています。普段の仕事は、開発する上でフロント・バックエンド問わず、何でもやっているような状況です。

神ゲー攻略とは

神ゲー攻略 Top Page

「神ゲー攻略」は、Lighthouse Studio で展開している国内向けのゲーム攻略サイトで、PV による広告収益を主な収益源としています。さまざまなゲームに対する攻略方法やゲームに対するレビューを記事コンテンツで提供しています。また、ゲーム会社からの依頼に応じて、そのゲーム向けの攻略コンテンツを作成するビジネスソリューション的な取り組みも行っています。最近ではこれらのコンテンツメディアを更に展開する新規事業に挑戦するなど、新たなユーザー層へのアプローチや事業拡大を狙っています。

発表の概要

今回、私は「神ゲー攻略」とは別に立ち上げた新規事業の1人エンジニアとして、事業撤退の危機から2回のピボットを経験しました。皆さんがプロダクトの危機が迫った時に、エンジニアとしてどう行動しますか?今日は、この問いに答えられるような何かを持って帰ってもらえれば嬉しいなと思っています。

Agenda

アジェンダとしましては、

  • 事業の危機を技術で乗り越える
  • なぜこの行動ができたのか?

という事業状況と対応、また僕の変容について話していきたいと思っています。

事業の危機について

まず、私は新卒2年目で新しいメディアの開発にジョインし、エンジニアとして開発を担当していました。エンジニアの私とビジネス職1名の2人チームで運営していました。広告収益を目的としたメディアのため、PVが非常に重要でしたが、PVの急落により2度の撤退危機に直面しました。しかし、その都度ピボットを行うことで何とか乗り越えることができました。

PVの急落

PVの推移を見ると、新卒2年目でジョインした当初から順調に成長していましたが、3年目でガクンと下落。1度目のピボットで回復し成長軌道に乗せることができましたが、昨年再び大きな下落を経験しました。

2度目のピポットが主軸

2度目のピボットを経て、現在は徐々に回復基調にあります。本日は、時間の都合上、この2回目の撤退とピボットの事例を中心にお話しさせていただきます。

2回目の急落の原因

Googleアプデにより検索順位が急落

この2回目の急落の何が問題だったのかなんですけども、これはGoogleの検索アルゴリズムのアップデートによって検索順位が急落したのが原因です。

なので、検索するとGoogleの検索結果から昨日まで見えていたものがもう何も出てこない、みたいな感じになっていました。これに落ちた原因としては、まぁSEOなので確実な原因はわからないのですが、おそらくうちのメディアのコンテンツに独自性と信頼性が足りなかった、そこでGoogleの評価が落ちた、と考えられます。

または、システムにSEO的な懸念があったことも、問題だったんじゃないかなと思っています。では、次にこのシステムの話に移りたいと思います。

システムの要求と制約

まず、今回のシステムの要求と制約なんですけど、まず要求に関してはもうほぼゼロイチで作り直す、というような感じになりました。

要件と制約: CSRからSSRへの転換

今回我々メディアをやっていたんですけど、実はCSRでやっておりまして、SEO的に状態がよろしくないと。そこでよりGoogleに解釈しやすい構成に変えるためにSSRにリプレイスすることを決めました。

また、どれだけいいものを作っても前プロダクトと全く一緒のものを出してしまうと、Googleから「全然変わってないやん」と評価される可能性があるため、前のプロダクトとは違うとGoogleに伝えるためにデザインやUIを新しく作り直しました。もちろんこれはユーザーにとっても嬉しいアップデートになっています。

この要求に対して制約としましては、もうエンジニアはまず自分だけでした。また、さらにここに投入するようなデザイナーさんのリソースもありませんでした。そして、2回目の急落なので、もう結構余裕がなくてですね、開発期間も半月ほどしかありません。この要求と制約を合わせて考える時に、「いや、これどうすんだ」となりました。

AIエージェントを使った解決策

ただ、次の目標としてはこれを達成する必要があるので、諦める前に、手を打つ前に一旦俯瞰して考えてみました。

AIエージェントを使う決断

俯瞰して考えた結果、「もうこれはAIエージェントを使うしかない」と、そう決断しました。AIエージェントの活用を開発における方針として明確に定めました。ただ、この時点では社内での活用事例もほぼなくて、挑戦的な方針だったなと思っています(2025/1時点)。

1週間でCSRからSSRに転換

結果としましては約1週間ほどでリリースすることができました。今回SSRのためにReact Router v7を採用してプロダクトを開発しました。また、AIエージェントとしてはRoo Code を使いまして、主にUIコンポーネントの作成などで活用して大幅な時短を実現 しました。またはRoo Codeに指示することによって、デザインもゼロからよりは全然問題ない、最低限問題ないものができたので良かったなと思っています。

TypeScriptとAIエージェントの効果

今回のTypeScriptとAIエージェントを使ってみた感想としては、TypeScriptの静的型付けによる素早いエラーの検知と、AIがそれを見て改善する素早いフィードバックループ、そして人間側で型情報をしっかりと定義することで、AIがそれを適切に解釈してくれる点が挙げられます。

TypeScriptの型とAIを組み合わせることで高速にピポット出来た

これによりコード生成の成功率が高まり、この2点が非常に効果的でした。今回の早期ピボットは、AIエージェントの活躍ももちろんありますが、そもそもこの2点のメリットがあったため、TypeScriptなしでは実現できなかったと考えています。

なぜこの行動ができたのか

アジェンダ2: なぜこの行動が可能だったのか

では、次になぜこんな行動ができたのか、といった行動変容の話をしたいと思っています。

絶望をきっかけに行動を変えた

結論、絶望からの振り返りによって自分の行動を変えたことで、今回のことができたんじゃないかなと思っています。今回メディアのPVの急落で、事業撤退も視野に入る状況でした。

「エンジニアとしての動きだけでは足りない」気付き

もう本当に深い絶望ですよね。僕は絶望するともうシャワー浴びながら永遠と考えるんですけど、もうシャワーをひたすら浴びながら「これどうすればいいんや。どうすればいいんや」って考えていました。

役割を超えて事業と向き合う決断

結果、もう、これはもうエンジニアとか気にせずにもう何でもやるしかないと思い決意しました。

Before/Afterの変化

これを考える以前の自分と後で意識的に行動と思考を変えました。それがこちらです。

行動変容: 役割を超えた個別最適→全体最適

Beforeの自分は「エンジニアとして開発をしっかりやる」という思考をもとに、目の前の開発タスクに全力を注いだ、といった行動をしました。これはもちろん問題ないんですけども、今回の件ではエンジニアのタスクに留まる個別最適な動きだったなと思っています。

Afterの自分では「事業課題があれば何でもやる」という思考のもとに、必要であれば競合調査や企画まで何でも自分で実行するといった行動をしました。こちらは事業推進のための全体最適な動きだと思っています。

ここで個別最適から全体最適へと思考と行動を変えていくといった変化がありました。また、先ほどお話ししたAIエージェントの活用も、手を動かす前に全体を俯瞰してどうすればいいかと考えた、全体最適を考えた結果かなと思っています。

AI活用も全体最適を考えた結果の帰結

もちろん「目の前の開発タスクをしっかりやる」思考は、通常であれば問題ないものですが、今回のような危機的状況では足りないのではないかと思いました。

特に今回はメンバー2人で進める新規事業であり、役割分担せずに枠を超えた動きが必要だったと反省しています。

結論

まとめ

そこで、TypeScriptとAIエージェントを活用して越境し事業復活しました。で、結論としてエンジニアの枠を超えた動きが事業を救うと思っています。中途エンジニア採用中ですので、興味ある方はこちらをご覧ください。

以上で発表は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

まとめ

今回の記事では TS Kaigi 2025における @yokkori_devの登壇を軸にまとめました。

CARTA HOLDINGSでは、エンジニア組織が大切にしている価値観である「Tech Vision」の中で、「先人に感謝し、還元する」という指針を掲げています。CARTA HOLDINGSはテクノロジーに携わる人達を支援し、事業のなかで得た知識を技術コミュニティに還元することで社会へ貢献していきます。

では!