CTOの鈴木健太(suzuken)です。
今回は 半年ごとに提出される80人分の「技術力評価会における全ての資料を読んでいる」話 をします。
- そもそも技術力評価会とは
- 評価資料には半期の工夫と判断が凝縮されている
- CTOとして、全事業の全コードを知ることは難しい、だからこそ読む
- 資料を読むことで「エンジニアが課題を解きづらい」環境かどうかを把握できる
- すべてはチームが活きるために。個が活かされればチームも活きる。
- そして単に、僕はエンジニアがなにをしているのかを知りたい
- まとめ
そもそも技術力評価会とは
技術力評価会とは、昇給・昇格の評価軸の1つである能力(エンジニアであれば技術力)を評価するための会です。
技術力評価会は年2回行われます。前回は2022年下期分で、全部で80回開催されました。
詳しくは次のページをご覧ください。
評価資料には半期の工夫と判断が凝縮されている
評価資料は社内なら誰でも閲覧できます。
次のドキュメントを閲覧できます。
- 事前資料: 評価される人が提出する「なぜ、なにを、どのようにやったか」を書いた資料
- 評価レポート: 評価をする人による「評価会後の総評、評価者からのアドバイス」を書いた資料
事前資料には、以下の2つが書かれています。
- エンジニアがいるほぼすべての事業における半期ごとの開発内容
- 「何をなぜやったのか」の判断、そしてどのように実現したのか
評価会は90分程度で行われます。90分で半期にした仕事をすべて話すことはできません。 ですから評価される人はやったことを事前資料に要約し、端的に判断や工夫を表現する必要があります。
CTOとして、全事業の全コードを知ることは難しい、だからこそ読む
普段、私はCARTAの20超の子会社と連携して仕事をしています。
事業責任者と話すこともあれば、エンジニアメンバーとコーヒーを飲みながら話すこともあります。そのときに聞くことは「いまの課題はなに?」「なにか僕に手伝えることはありますか?」
です。
限られた時間で相手のニーズに応えるために、「相手が今どういう状況にあり、何が進んでいるのか」 を知っておくのは私の仕事にとって重要なことです。 それによって課題の解像度があがります。私が動くことで、相手がより効果的に事業のプラスになる動きができるなら、ぜひやりたいと常に考えています。
「エンジニアが今進めていること」は未来への投資です。 事業の現状があり、それを変えるためにプロダクトを作っています。CARTAでは各子会社に経営判断を委ねています。 評価会資料にある「いま何が課題で」「なぜそれをやるのか」には子会社の経営判断が含まれます。
しかし、「知らないからできない」では協力も何もできません。だから、対話の前に集められる情報は集めておきたい。 その観点から見ると、技術力評価会の資料は情報の集約度が高く良質なインプットになります。
資料を読むことで「エンジニアが課題を解きづらい」環境かどうかを把握できる
事業をよりよくするためには多くの課題を解く必要があります。それは多くの場合、組織外ではなく、組織内にあります。 事業を進めようとしたとき、「なぜかうまくプロダクトが成長しない」「なぜかチームがモチベートされない」ということがよく起きます。重要なのは 「あるタイミングで売上総利益が伸びたから良い」
ではなく 「いまあるチームで最大限のアウトカム(成果)が得られたか」
を問うことです。
技術力評価会で語られる環境には、事業の外部環境だけではなく事業內のチームについても含まれます。評価会資料を読むことで以下の情報を得られます。
- どういう目標で
- どういう役割を持ち
- 何を達成しようとしているか
そのために
- 評価される人自身がどう振る舞い
- 何を情報として得て
- 何が判断可能だったのか
すべてはチームが活きるために。個が活かされればチームも活きる。
技術力評価会で語られる情報は、決して評価目的だけに使われるわけではありません。それ自体がチームや組織を変えるきっかけを生み、自分たち自身の仕事をしやすくするための作用をもっています。
課題解決能力の高いエンジニアであればあるほど、「まだこの部分の情報が足りない」という嗅覚が強いです。まだ設計判断に必要な情報がそろっていない、あるいは情報がそろっているように見えてもまだ客観的に見ると取りうる失敗があるのではないか、と想像します。
スピードを失わずにできる限り状況判断のための素材を集めることが、私たちの考える本質志向のあり方です。 そういった本質志向なエンジニアリングの力を活かすには、組織としての構造、言い換えれば 情報の透明性の担保と権限委譲が実現されていなければなりません。 プロダクトチームが適切なアプローチをとるための問題はすべて取り払い、問題に向かわせるべきです。そうしなければテクノロジーによる力を最大限に活かし、将来の利益につなげることはできません。
私をはじめCARTA経営陣はエンジニアを信頼し、 共に信頼し共に創る組織 であるための環境に投資しています。
そして単に、僕はエンジニアがなにをしているのかを知りたい
CARTAには200人弱のエンジニアがいます。
みんながどのように、なにを実現しているかを知り、
- 「うおーすごいなー」
- 「あーこの仕組みはがんばってるな〜」
- 「あーこれいいアイデアだなー」
- 「あーこの課題はたいへんそうだけどよくやってるな〜」
とか、ブツブツとつぶやきながら資料を読む時間が好きなのです。
CARTAとして、同じ組織のエンジニアが何をしているのかを単に知ることが楽しいし、もっと知りたいし、どういう問題を解決したのかを聞きたい。技術力評価会の資料に限らず、Slackでも、GitHubでも、暇さえあればエンジニアメンバーが何をしているのかを自然と見ています。 それは合理的な理由があるというより、単に見たいから、としか言えないような気がしています。
まとめ
今日の記事は社内から「CTOが全部の評価会資料を読んでいるのは多分珍しいと思うから記事にしてみたら」と言われたので書いてみました。