CTOのsuzukenです。
2024年4月にCARTA Generative AI Labを設立し、1年ほど活動してきました。
その過程で、すでにできていること、まだできていないことがクリアになってきました。生成AIは事業及び経営の進化推進のための重要要素だと捉えており、昨年よりもより実行力を伴った投資を行うべきと考えています。
今回はCARTA Generative AI Labのこれまでを踏まえながら、これからどのように発展させていくのかについてお話します。
CARTA Generative AI Labが現状できていること:
OpenAI, Gemini, Anthropic等の新モデルの評価やAPI・機能のサーベイ、社内プロジェクトでのPoC実施を行っています。また、生成AI実験制度の展開やガイドライン策定、開発支援AIツールの導入なども進めています。
新卒研修でのAIハッカソン実施や、生成AIサービス導入の相談対応も行っています。ただし、抱えられるプロジェクト数に限りがあります。
CARTA Generative AI Labが現状できていないこと
事業部での生成AI活用支援(調査、実装、アーキテクチャ相談等)や、社内のAI応用事例の取りまとめが十分にできていません。 また、「AIでこれをやりたい」というリクエストへの対応や、AIサービスの利活用方法の紹介、業務改善のためのAIサービス運用支援なども課題です。
画像・動画生成技術の詳細な調査や、内製の社内LLMチャットサービスへの十分なサポートもできていないなど、課題が山積した状態です。
業務効率化にフォーカスします
1年近くやってきて、生成AIの技術的な可能性はより解像度があがり、利用用途も大きく広がってきました。また、外部サービスにも生成AIをベースにした機能が組み込まれることも増えてきています。
一方で飛び道具的な生成AIの利用は派手さがありますが、実際の業務文脈では使われないものも多いでしょう。業務で動画生成をするニーズは特定のチームに限定されます。
業務では、もっと地味な利用方法が中心になってくると考えています。
それは「検索」「分類」の用途です。 業務プロセスとしてはとても枯れた領域です。これからすでにCARTA内の多くの業務プロセスに暗黙的に組み込まれています。そして最新の言語モデルが出たことによって、小さな工夫でも解決しやすくなった領域です。多くの改善可能な業務はこの用途に集約されると予想しています。
それらの仕組み化に対するリターンは業務効率として現れます。 この業務効率の度合いによって、実現の優先度をつけたいと考えています。ここに重点的に投資します。
アプローチは内製化だけではない
生成AI 活用によるアプローチは内製化だけではありません。 Labでは内製化をメインとした取り組みおよびリサーチをします。一方で、以下の方法を使ったほうがいいものもあるでしょう。
メンバーの育成
ツールの利用方法がわかれば既存のAIツールで解決する問題も多くあるでしょう。
外部SaaSの活用
SaaSにはすでに生成AIを活用した機能が組み込まれ始めています。たとえばSnowflake, Salesforce, GitHub等は内部で生成AIによる支援機能がよく組み込まれています。Google WorkspaceにもGeminiが搭載されはじめています。組み込まれた機能をうまくつかうことでユーザ体験も向上し、結果としてCARTA全体にレバレッジを掛けて生成AIによる効率化の支援が得られる可能性が大いにあると考えます。導入にはゴール設定と予算策定、育成、活用のモニタリング、評価に関する整理が必要です。
専属ソフトウェアエンジニアを迎えました
2024年7月から、 CARTA Generative AI LabのリーダーをLighthouse StudioでCTOをしていたえびちゃん(@co3k)にお願いしました。
Generative AI Lab専属のソフトウェアエンジニアとして実現力の面で力強い推進をお願いしています。フルサイクルかつフルスタックなエンジニアです。新たな技術の方向性を把握し、試し、実装する点でとても心強く思っています。
今はカオスから課題を見つけ出すフェーズ
上記の記事でも話ましたが、COVID-19渦中に経営統合を経験し、まだ課題の輪郭が見えきっていないカオスが残っている状態です。また進化の早い生成AI領域ゆえの変化追従の難しさや実行力を伴った事業領域への応用的実践はこれからまさにえびちゃんと共に立ち向かっていくフェーズです。
カオスの中から難易度の高い課題を見つけ解く、そんな環境が楽しめる人にはとてもあっている と思います。そんな環境で働いてみたい人はぜひエントリーをお待ちしております!