CARTAでのO’Reilly Online Learningの導入について

この記事は CARTA TECH BLOG アドベントカレンダー2024 の 12/9 の記事です。

CTOのsuzukenです。

私のCARTAにおけるミッションの1つは、エンジニアが持続的に成長する環境を生み出し、事業成長を実現することです。技術は日々進歩しており、エンジニアが常に新たな知見を吸収することが、顧客価値向上や事業競争力の源泉となっています。

CARTAではフルサイクルエンジニアリングによって事業における経験効率を向上させ、エンジニア一人ひとりの課題解決の力を持続して高めるよう取り組んでいます。「毎日試す」は経験の源泉です。また、技術力評価会によって、エンジニア同士が互いの成果に客観的な目線を向けることで、認知バイアスを緩和し、より質の高いフィードバックを得る環境づくりにも注力しています。

これらの試みを持続的に強化するためには、良質な情報を効率よく収集し、エンジニアが外部からの知見を柔軟に吸収できるようにすることが重要です。技術トレンド変化が早い環境においては、顧客ニーズもその変化を反映し、高度化します。既存の知識だけでは顧客価値向上に限界があります。そのため、信頼できる最新情報にアクセスできる環境が必要です。こうした背景から、CARTAではエンジニア向けの新たな学習基盤として「O’Reilly Online Learning」を導入します。

学習時に直面する課題

エンジニアが新たな技術領域について学ぶ際には、以下のような課題が生じがちです。

  • 情報の玉石混交:オンライン上には無数の技術情報がありますが、正確性や信頼性の判断には時間と経験が求められます。
  • 誤情報リスク:生成AI、Copilotなどは便利ですが、誤った知識を得る可能性も否めません。
  • 偏りのない知見獲得の難しさ:特定の情報源や個人の思考癖に偏ることで、新たな視点や包括的な理解が不足しがちです。

これらの課題を解決するには、信頼性の高い専門情報に効率的かつ継続的にアクセスできる基盤が必要と考えています。

O’Reilly Online Learningとは

https://learning.oreilly.com/

個人的にも利用していたO’Reilly Online Learningは、学習者に優れたUI・検索体験を提供するオンライン学習サービスです。O’Reillyは信頼性の高い出版社が提供する技術書・コンテンツが集約されているため、Web全般の情報収集に比べて品質や信頼性を担保しやすい点が大きな魅力です。

今回、CARTAでエンジニア向けに導入を検討するにあたり、以下のポイントが特に有望視されました。

導入前から期待していたこと

  • O’Reilly本をはじめとする多くの技術書への即時アクセス
  • 出版前の「Early Access」本へのアクセスによる、最新トピックへの素早いキャッチアップ
  • ページURL共有の容易さから、社内での知識共有が簡易化

導入後に期待する効果

  • O’Reilly Answers(一言でいうと: O’Reilly上の情報をベースに、生成AIを利用した質疑応答の仕組み)を活用した検索性向上:Web上の情報でグラウンディングするよりも高い信頼性が期待できる
  • 「この本を読んでみて」といった社内の読書推奨が容易に
  • 書籍購入などの手間削減により、読書会(参考: CARTA技術ブログ読書会)の開催がさらに活発化

トライアルで見えた効果

導入にあたり、トライアルを実施させていただきました。トライアル期間中、100名以上のエンジニアが参加し、約400のコンテンツが利用されました。社内トライアルを経て、以下のような手応えを得ています。

  • 多くのエンジニアから「使ってみたい」という声が寄せられ、学習意欲の高まりを実感
  • Cloud Labsを通じて、AWS・Google Cloud・Azureといったクラウド環境を試験的に操作可能で、実践的な学習を気軽に行える
  • O’Reilly上の豊富かつ整然としたコンテンツにより、安心して情報収集できる
  • 複数の本をザッピングしながら効率的に情報を取り込むエンジニアが増加
  • 読みたいコンテンツが増えすぎて、学びたい意欲が時間を追い抜くほどの好循環が生まれつつある

Cloud Labsは特に好評で、新機能を試したい時にさっとコンソールやCLIを使って体験できるほか、セッション終了後は自動で環境がクリーンアップされるため、後片付けも不要です。参考: O’Reillyのインタラクティブラーニング紹介

トライアル前は「実際にみんな使ってくれるかなあ・・」と思っていたのですが、想定以上に熱心に利用してもらえており、杞憂でした。

引き続き私も毎日のように利用しています。クラウド・生成AI・マネジメント・設計・新たなツール等多くのトピックについて効率よく調べられるのはもちろん便利ですが、社内のみんなにもすぐにみているものを共有できるようになったことがとてもうれしいです。

導入決定時の社内の声をお届けします

うおおおおおおおおお

おおおおおおおお

やったーーーーー

やったぜ

その他、個人で元から利用していたメンバーからも「会社で利用できるようになって嬉しい」との声をもらいました。また、おすすめのコンテンツについても社内ブログ(ヒトノワノート)に何人もポストしてくれています。ありがたいことです。すでに社内用プレイリストもいくつか作成されています。

今後Webコンテンツの信頼性が相対的に低下する時期がくる

これはWebユーザとしての主観ですが、技術記事に限らず、AIによって生成されたコンテンツがWeb上に増加しており、検索時に目にすることも増えてきました。

かつ、複数のサイトをみていても、同様の内容であったり、どれが本当に磨かれた内容なのかが判断つかないケースがあります。

生成AIしかり、今後Webにおいて「学ぶ」行為をするには、今まで以上にコンテンツ自体を見定める目、リテラシーが必要だと考えています。これは新しい領域について学ぶとき、ハードルになりやすいでしょう。

したがって、書籍から学ぶ道を残すことは重要性が相対的にあがっており、今後数年もその重要性は増していくと考えています。

今後に向けて

O’Reilly Online Learningを最大限活用するため、CARTAでは以下のような取り組みを検討・推進していきます。

  • 効果的な利用手法やおすすめコンテンツをまとめたガイドラインの整備
  • O’Reillyで発見した有用なコンテンツリストを月次で社内Slackに共有する
  • O’Reilly上でピックアップした記事を元にミニLT会を開催
  • Cloud Labsを利用したハンズオン・ワークショップの開催
  • 読書会や勉強会での利用など、エンジニア間での学習促進施策へのさらなる活用

CARTAは、エンジニアが自ら学び、互いに知識を共有し合う文化を醸成し、その結果として優れたプロダクトと顧客価値を生み出す好循環を目指しています。O’Reilly Online Learningが、その実現に欠かせない学習基盤の1つとして、今後役割を発揮してくれることを期待しています。