OTT vs CTV: 用語を正しく使い分けよう

はじめに

先週当社が発表した「国内動画配信サービス・プレイブック」はもうご覧いただけましたでしょうか?国内動画配信サービスの概況がたいへん見やすくまとめられていますので、まだの方は是非ダウンロードしてみてください。

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今回は動画つながりということで、IAB Tech Labのブログから「OTT VS. CTV: WHAT’S IN A NAME?」 (OTT対CTV:名前に何の意味があるのか?)という記事を紹介します。(余談ですが、この”What’s in a name?”とは「名前に何の意味があるの?(重要なのは中身)」というようなニュアンスで、あの戯曲「ロミオとジュリエット」に出てくる有名な台詞のようです!)

IABによる「OTT」と「CTV」の使い分け

当該の記事ではIABの考えるOTTとCTVの定義とその混同しがちな部分、使い分けのポイントについて書かれています。
ここ数年、ストリーミングサービスは爆発的に普及し、"OTT "や "CTV"という用語も一般的になりました。しかしながら、この2つの用語は混同されたり、または同義のように使われがちです。カジュアルな会話の際は問題ないのですが、具体的な話をしたい場合の足枷になっていることも事実です。

「"OTT "と言ったとき、スマートテレビのことを指しているのか、それともモバイルアプリのことを指しているのか?」「それはAppleTVやChromecastも含まれているのか?」といった質問を Tech Labでもしばしば受けるそうです。とりわけTech LabのOTTテクニカルワーキンググループのメンバーは、このような混乱に何度も対処しなければならなかったそうで、実際、ユーザーエージェントの取り扱いやアプリケーションIDの使用に関するガイダンスを発表した際には、可能な限り "OTT/CTV "と併記することでリスクヘッジするなどして対応したとのことです。

同様に、最近では「OTTフラウド」が話題に上ることも多いのですが、モバイルやデスクトップで直面する課題は、CTVデバイスで直面する課題とは大きく異なります。そのため、「OTTフラウド」のようなトピックが出てきたとき、聞く方はそれが何を意味するのか正しく把握しておく必要があります。

それではこの2つの用語の定義を今一度おさらいしてみましょう。

OTT : OVER-THE-TOPビデオ

「オーバー・ザ・トップ」という言葉は、放送の世界に由来しています。もともと(地上波)放送、ケーブル、衛星放送などの経路を使ってテレビで視聴するために配信されていたコンテンツが、オンラインで配信されるようになったのが「オーバー・ザ・トップ」です。これは、インターネット経由で配信されるコンテンツを指し、(当初OTT映像の主な視聴手段であった)デスクトップPCやモバイル端末で視聴することを指していました。

しかし、従来型の「放送」をあまり体感したことがなく、モバイルやPCへのストリーミングにしか慣れていなかった人々がOTTという言葉を使うようになってきたことで、モバイルやPC以外のデバイスにもこの言葉が適用され、現在のような混乱を引き起こしました。

CTV : CONNECTED TV

時が経つにつれ、テレビにはインターネット機能が搭載されるようになり、ゲーム機やRokuなどのセットトップボックス、さらにはインターネットに直接接続できる新しいテレビが登場しました。このようにテレビがインターネットに接続されたことで、ますます大画面でコンテンツを見ることができるようになりました。

インターネットに接続されたテレビは、インターネットを搭載しているとはいえ、PCやモバイルでのOTT配信とは異なる課題を抱えています。このため、 CTVの取り組みは、インターネットで配信され、(大画面の)テレビで視聴されるビデオに焦点を当てています。 これには以下が含まれます:

  • インターネット経由で直接ビデオをストリーミングする「スマートテレビ」
  • Roku、Chromecast、Fire stick、Apple TVなどのテレビにストリーミングするインターネット接続されたデバイス
  • XBox、Playstation、Nintendoなどのゲーム機でテレビにストリーミングするもの

まとめ:OTTとCTVという用語を正しく使い分けましょう!

アドテクビジネスの文脈、特にある領域の課題に対処しなければならないなどの目的がある場合には、もっとも文脈に合った正しい用語を使うことが推奨されます。

  1. スマートテレビやテレビに接続されたストリーミングデバイスについて具体的に話す場合 →  CTV を使いましょう!
    モバイルやデスクトップPCなどのデバイスは、CTVという用語には 含まれないことにご留意ください 。

  2. どのデバイスが含まれているかが問題ではない場合 → OTT を使いましょう!
    例えば、「OTTサービス」(HuluやNetflixのようなもの)について話したい場合で、特定のデバイスへの配信が問題にならない場合であれば、OTTを使うことが推奨されます。(なお、OTTは、ユーザー生成コンテンツが一般的となった広大なオンラインビデオの世界とプレミアムなテレビコンテンツを区別するための有効な用語であることに変わりはありません。)

出典:https://iabtechlab.com/blog/ott-vs-ctv-what-is-in-a-name/

これらの用語の起源と使用法を明確にすることで、会話がより生産的なものになればよい、として記事は締めくくられています。


いかがでしたでしょうか? これらの用語には様々な定義がなされているので本当に混乱しがちですが、Tech Labの技術者は上記のような分類をして使い分けているようです。ご自身が使い分ける際のひとつの解釈としてお役に立てていただければと思います。
Tech Blogでは今後もIAB/IAB Tech Labの気になるアップデートを紹介していきます。


追記

広告朝日さんのマーケティングキーワード解説においても、当社エグゼクティブスタッフの國分が「OTT (Over The Top)」について説明しています。こちらもぜひご覧ください。

マーケティングキーワード「OTT(Over The Top)」
https://adv.asahi.com/keyword/13439736.html


IAB Tech Labについて

IAB Tech Lab (The IAB Technology Laboratory) は、米国のインタラクティブ広告業界団体であるIABが設立した、デジタルメディアとデジタル広告業界におけるグローバルな技術標準の確立と導入を促進するための国際的な研究・開発のコンソーシアムです。CCIは2017年1月からTech Lab会員となっています。