OM SDKがウェブ動画に対応!待望のOM SDK for Web Videoリリース

はじめに

12月9日、IAB Tech Labは同団体が提供するOpen Measurement SDK (OM SDK)が、ウェブ動画広告にも対応したことを発表しました。そこで今回はOM SDKとOM SDK for Web Video (OM Web Video SDK)について紹介したいと思います。

OM SDKとは

Open Measurement SDK (OM SDK)は、IAB Tech Labが2018年に提供を開始した、アプリ内広告のビューアビリティ等の指標計測を合理化するために開発されたオープンソースのSDKです。

OM SDKを実装することのメリットとしては、アプリに複数のサードパーティ計測ベンダーのSDKを個別に実装する必要がなく、代わりにOM SDKという標準化されたソリューションを実装することにより、対応計測ベンダーのアプリ内測定プロセスを統合できる点が挙げられます。これにより、アプリパブリッシャーは実装や保守作業の負荷を最小限に抑え、数値の乖離を減らし、計測プロセス全体をより正確で透明性の高いものにできると考えられています。

また、エンドユーザーの視点からは、OM SDKの実装はデバイスのメモリやCPU消費を削減したりアプリのクラッシュを最小限に抑えたりなど、全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させると言われています。

OM SDKを構成する要素としては、Android/iOS用のネイティブライブラリとともに、アプリとサードパーティ計測ベンダータグ間の通信を可能にするJavaScript API(Open Measurement Interface Definition; OMIDとも呼ばれる)が提供されています。

OM SDK for Web Videoとは

IAB Tech Labは今月、これまでアプリのみの対応だったOM SDKがウェブ動画広告で利用可能になったことを発表しました(https://iabtechlab.com/iab-tech-lab-expands-omsdk-scope-to-include-web-video/ )。これがOpen Measurement SDK for Web Videoです。これにより、広告主は1つのVAST(Video Ad Serving Template)タグを使用してすべての動画広告を測定できるようになるとのことです。

IAB Tech Labでは、かねてより動画指標計測のためにVPAID(Video Player Ad Interface Definition)を使用することを非推奨としており、今回のOM Web Video SDKのリリースもVPAIDの段階的廃止に向けた継続的な取り組みの一環であると述べています。

OM SDK for Web Videoの計測対象

IABによると、OM SDK for Web Video は「PC、タブレット、スマートフォン、コネクテッドTV(CTV)やOTTデバイス、ゲーム機など、すべての視聴可能コンテンツをHTML5 経由で排他的にロードしレンダリングするウェブ動画アプリケーションをサポートするインターネットまたはモバイル技術を介した視聴覚コンテンツの放送および表示に適用される」とのことです。HTML5 による動画配信がサポートされていないデバイスや、デバイス ネイティブな UI フレームワークを使用するアプリケーションは除外されます。(ウェブのディスプレイ広告も対象外です。)CTV および OTT プラットフォームの中でも HTML5 配信を使用するものに関しては、結果的には 今回のOM SDK for Web Videoでサポートされる可能性があるということになります。

OM SDK for Web Videoの特徴

OM Web Video SDK の特徴は、パブリッシャーがコンテンツやアプリケーションに対するサードパーティスクリプトのアクセスを管理できるように、複数のアクセスモードが用意されていることです。これらのアクセスモードにより、計測シグナルを収集しつつもパブリッシャーに対して更なる透明性とコントロールを提供することができるとIABは述べています。


アクセスモード

  • Creative アクセス ー 検証スクリプトがクリエイティブ要素にアクセスできる(同一iframe内、もしくはフレンドリiframeから)。このモードでは、計測タグが広告クリエイティブを直接計測して検証することが可能。

  • Domainアクセス ーこのモードでは、計測ベンダーのJSタグは、特定の設定と追加要件を伴うサンドボックス化されたIFrameにロードされ、パブリッシャーは計測ベンダーのJSの広告クリエイティブへのアクセスを制限することができる。

  • Limited アクセス ーこのモードでは、計測ベンダーのJSタグはサンドボックス化されたIFrameにロードされる。計測スクリプトは、広告クリエイティブを直接計測することができないため、SDKのJSがOMIDクライアントライブラリ用のAPIを介して計測スクリプトに計測イベントを渡す必要がある。

    参考:https://iabtechlab.com/blog/open-measurement-for-web-video-arrives/

レポートされる指標

レポートされる指標については In-App版 OM SDK v1.3の仕様に準ずるようです。

・広告セッションに対して報告される測定値は、セッションの開始、終了、および発生したエラーの内容などで、v1.3では、インプレッションに対するMRCのBegin to Render定義のサポートが導入されました。

・ユーザーインタラクションに対して報告される測定値には、クリックやビューディメンションの変更など、ダイレクトなインタラクションを計測するためのメトリクスが含まれています。

・ビデオまたはオーディオ広告のライフサイクルで報告される測定値には、メディアプレーヤーと広告イベントの進行状況を追跡するためのVASTとDAASTのメトリクスが含まれます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。DoubleVerify社の発表した「2020 Global Insights Report」によると、2020年第1四半期にOM SDKで計測されたインプレッション数は前年同期比で307%と大幅に増加したそうで、今回のOM SDK for Web VideoのリリースによってもOM SDKの更なる普及が進むことになるでしょう。
また、IAB Tech LabではAndroid TVやApple TV OSなどのCTVをサポートするOM SDKも今後開発予定とのことです。


IAB Tech Labについて

IAB Tech Lab (The IAB Technology Laboratory) は、米国のインタラクティブ広告業界団体であるIABが設立した、デジタルメディアとデジタル広告業界におけるグローバルな技術標準の確立と導入を促進するための国際的な研究・開発のコンソーシアムです。CCIは2017年1月からTech Lab会員となっています。