改訂改題版の新刊『事業をエンジニアリングする技術者たち ― フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場』が発売 #cartabook

こんにちは。技術広報の丹野です。 2022年8月8日、CARTA HOLDINGS(以下、CARTA)が監修した『事業をエンジニアリングする技術者たち ― フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場』という本が ラムダノートさん から発売されました。

本書は、和田卓人氏(@t_wada)による旧VOYAGE GROUPのエンジニアたちへのインタビューをまとめた『Engineers in VOYAGE ー 事業をエンジニアリングする技術者たち』(2020年8月7日)を改訂改題した新刊になります。 今回の改訂にあたっては新たなコンテンツを追加しています。

  • CARTAとしての新たな一歩を体現するエンジニアたちのインタビューを2章追加
  • 『Engineers in VOYAGE』に収録された各事業子会社の「それから」を追加
  • CARTA 新CTOの鈴木 健太(@suzu_v)による「あとがき」を追加

『Engineers in VOYAGE 』の生々しさをそのままに、同書を改訂改題した『事業をエンジニアリングする技術者たち』は、引き続きCARTAのビジネスとエンジニアリングの在り方を凝縮した1冊になっています。

今回は、本書初版がどういうものだったか、また改訂改題するに至った経緯について、 和田さん と ラムダノートさん の許可を得て、和田さんによる「改訂改題にあたって」の内容を以下に掲載します。 初版の『Engineers in VOYAGE』の「はじめに」も引き続き こちら でご覧いただけます。

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author: 和田卓人 date: 2022年7月

改訂改題にあたって

『事業をエンジニアリングする技術者たち』は、2020年に発行された『Engineers in VOYAGE』の改訂改題版です。 改訂にあたり、書籍のコンセプト自体は変わっていないので、初版である『Engineers in VOYAGE』の「はじめに」を次節にそのまま掲載することにします。

ここでは、初版の出版後に頂いた評価と、改訂改題の動機について記します。

本書初版への評価

本書の初版に対するさまざまな評価のうち、特に大きな出来事は、ITエンジニア本大賞2021」の技術書部門大賞を受賞したことでしょう。 日本で発行された技術書の年間ベストを決める場において大賞を獲得したことは、筆者にとっても大きな励みになりました。

筆者は、このITエンジニア本大賞2021の決選投票に臨み、本書の魅力を短いプレゼンテーションとして発表する機会を持ちました。その発表を設計する際に心がけたのは、「徹底的に第三者評価をベースにする」ということです。

そもそも筆者は本書の作り手の一人ですから、深い思い入れがありますし、本書についていくらでも話せます。しかし、「筆者がどう考え、どんな狙いと思いで本書を作ったか」と同じくらい重要なのが、「読者の皆様は本書をどう読み、何を感じたか」です。

本書の初版に対しては、ありがたいことに、多くのエンジニアが感想や書評をツイートやブログで公開してくれています。それら書評や感想ツイートを収集し整理することで見えてきた本書の独特な価値を、講演の中では最終的に次の3つにまとめました

  • 生々しいインタビューであること
  • 対レガシー戦略の宝庫(実践編)であること
  • 事業をエンジニアリングしていくフルサイクル開発者の姿が描かれていること

プレゼンテーションの中では、これをさらに短く、「生々しく、これまでの問題解決と、これからの技術者像を、一冊で見せてくれる本」とリフレーズしています。 これらの価値は、初版である『Engineers in VOYAGE』から読者の皆様が読み取っていただいた、本書『事業をエンジニアリングする技術者たち』のエッセンスにほかならないといえるでしょう。

改訂の動機と狙い

本書の改定のきっかけ自体はいたってシンプルで、VOYAGE GROUPの社名変更です。「VOYAGE GROUP」という社名がなくなり、電通の子会社として1996年からインターネット広告を手がけてきたCCI(サイバー・コミュニケーションズ)との完全な経営統合で「CARTA HOLDINGS」となるにあたり、『Engineers in VOYAGE』も全体的に広く浅く更新する必要が出ました。

しかし、ただ本文中の社名を一括置換していくだけでは、大事な点を見失います。本書の初版が出版されてからVOYAGE GROUPに起きた変化は、単純な社名変更ではないからです。電通グループという巨大な企業体との邂逅は、エンジニアリング的にも文化的にも大きなチャレンジです。

このチャレンジは、実は多くの読者にとっても興味がある内容なのではないでしょうか。「自分が属している企業が他の企業と経営統合するにあたり、自社のプロダクト開発はどうなっていくのか?」、「自社のエンジニアリング文化はどうなっていくのか?」、「そのチャレンジの過程でどんなことがあるのか?」

初版の価値の1つは生々しさでした。であるならば、今回の改訂は、経営統合の過程におけるエンジニアリング文化の様子について生々しいインタビューをする絶好の機会だといえます。

結果として今回の改訂改題版では、初版にはなかった2つの新たな章が出来上がりました。第7章「テレシー」と第8章「基幹システム統合プロジェクト」です。これら2つの章では、初版の価値であるインタビューの生々しさをそのままに、プロジェクトを取り巻く状況が変わる中で意思決定を行い事業をエンジニアリングしていくエンジニアたちの姿をご覧いただけるのではないかと考えています。

さらに既存の章についても、インタビュー収録後から現在までにあった事業面、組織面、技術面などの変化を当事者に追記してもらっています。これらの試みにより、この改訂版は、初版よりもさらに読み応えのある書籍に育ったと考えています。

新たに生まれ変わった『事業をエンジニアリングする技術者たち』を何卒よろしくお願いいたします。

書籍情報

事業をエンジニアリングする技術者たち ― フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場

  • 株式会社CARTA HOLDINGS 監修、和田卓人 編
  • 272ページ
  • A5判
  • ISBN:978-4-908686-15-3
  • 2022年8月8日 第1版第1刷 発行
  • 本書は2020年8月に発行した『Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち』の改題改訂版です。
主要目次
  • 第1章 fluct ― 広告配信の舞台裏の技術者たち
  • 第2章 Zucks ― フルサイクル開発者の文化
  • 第3章 ECナビ ― 20年級大規模レガシーシステムとの戦い
  • 第4章 Lighthouse Studio ― 数十万記事のメディアをゼロから立ち上げる
  • 第5章 サポーターズ ― 事業の成長を止めない手段としてのシステム刷新
  • 第6章 データサイエンス ― エンジニアによるビジネスのための機械学習
  • 第7章 テレシー ― テレビCMをDXする
  • 第8章 基幹システム統合プロジェクト ― ICT本部

購入について

ラムダノートWEBサイトにて購入いただけます。

書店やamazonでも順次販売予定です。