この記事はCARTAエンジニアのアドベントカレンダー2022の12日目の記事です。
CTOのすずけんこと鈴木健太です。先日、Forkwellさん主催のイベント、CTO名鑑シリーズに登壇してきました。
登壇資料
https://speakerdeck.com/carta_engineering/forkwell-cto-suzuken
イベントの動画
合わせてインタビュー記事もあげていただきました。
当日は発表と、まつもとりーさんとのパネルディスカッション形式の対談がありました。
聞く、知る、考える
多くの人に、いま取り組んでいること、技術的に解決した課題とその着想を得た背景について聞いたことが私の社会人のキャリアの原点の1つです。
VOYAGE GROUP(現CARTA HOLDINGS)に新卒で入社した2012年、社内メンバーとも社外のエンジニアともたくさん話しをしました。当時前オフィスのファーストプレイスではよく勉強会が開催されており、社内バーのAJITOで懇親会がてら話をきいたのでした。
その人がなぜその課題を解こうと思い、どう考えていったのかということに、今でも興味がずっとあります。エンジニアというのはこうやって物事を考えて解いていくのだなーというのを、自分にも照らし合わせながら想像し、聞いていました。
これから何をつくればいいか、何を課題と捉えればいいかについて壁を感じている方もいるかもしれません。その場合には隣の人、同僚、外のエンジニア、だれでもよいので、
- 好奇心が湧いている人を観察する
- 深く聴く
- 自分の頭の中を一回通し自分ならどうするかを想像する
ことが新しい着想につながるきっかけになってくれるのではないか・・と思います。
書くことの裏には何倍もの時間がある。先人に感謝し還元しよう。
過去に書籍を執筆するなかで、執筆の大変さを知りました。
過去の2冊の共著、また記事なども数えると多くの執筆機会をいただきました。こうしたブログも伝える機会の1つです。
正確な内容をわかりやすく書くためには、何周も何周もその内容について深く調べ、試し、咀嚼し、構成しなおす必要があります。自分が執筆に参加させていただいた「データ分析基盤構築入門」「みんなのGo言語」のいずれも、関わった著者の方々はみなよく調べ、丁寧に記事を書かれていました。書かれている内容の何倍も、調べている内容があります。伝えたい内容を絞り込んで、削って、蒸留されたものが文書になります。書籍の執筆を通じてそれを経験できたことは、その後社内外にものごとを伝えるためにとても大きな影響を与えたように思います。
また、書く経験のなかで、既存の文書を書いてくれる人たちへの感謝の気持ちが大きくなりました。
よい環境にいくのか、自ら環境をつくるのか
キャリアの初期は平たく言えば「よい環境」を探していました。仕事がしやすく、既に仕事をする上での基盤が整っており、技術的なアプローチによるレバレッジが出しやすい場所を探していました。
しかし今は誰かにとって「よい環境」を作ることは難しく、面白いな、と感じるようになりました。
新卒で入社したころは若くて生まれたばかりのプロダクトの開発に携わっていました。既存の仕組みといってもそこまで大きなコードベースではなく、1週間もあれば全体を把握できてしまう大きさでした。ささっと頭にいれてコードを書くことができ、まだできていない機能をつくっていくというわかりやすい目標がありました。
途中ジョインしたfluct SSPでは、開発開始から6,7年たった状態でした。コードベースもいささか複雑になり、多くの人が代わる代わる実装し、認知負荷の高いコードベースになっていました。最初はうっとなったものの、徐々にコードを削り、読みやすさを向上させ、ある程度道筋を立ててきました。
そうした経験を経て、自分のためというより、「チームの誰かのために」コードを書くことへの気持ちがより大きくなりました。僕個人として、後からチームにジョインしてくれる人たちがよりよい仕事ができるようにコードを書きたいと思っているのは、こうした経験がベースになっています。
おわりに
書籍『事業をエンジニアリングする技術者たち − フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場』でも例が出てきますが、カルタの開発の現場ではそうした複雑な問題を解き、プロダクトを新たに息吹かせた事例が多くあります。ぜひ読んでみてください。
明後日水曜日に書籍の改題改訂にあたってのイベントを和田さん、鹿野さん、小賀さんとやりますのでぜひ聞きに来てくださいね。