CTOが聞く Vol.7 後編 ICT本部情報基盤 石切山 & 金井 「2000人規模に安全と便利を提供するICT本部のコーポレートエンジニアに裏側について聞いてみた」

CARTA HOLDINGSで働くエンジニアたちにCTOが「最近なにやってるの?」をざっくばらんに聞いていくシリーズです。今回はCARTA HOLDINGS CTOのすずけん(@suzu_v)が、ICT本部の情報基盤チームの話を聞きました。

前編はこちら:CTOが聞く Vol.7 前編 ICT本部情報基盤 石切山 & 金井 「2000人規模に安全と便利を提供するICT本部のコーポレートエンジニアに裏側について聞いてみた」

4桁の端末管理をいい感じに: 買ってきてログインするだけですぐ使える

石切山:SSOの他に、端末管理もいま取り組んでいることのひとつですね。

すずけん:ほうほう。入社する段階で端末が送られてきてログインできる状態になっているというのがいまユーザーから見える状態だと思うのですが、情報基盤チームとしてはそもそも端末管理ってどうしているんですか?

石切山:Windowsの大型アップデートが昨日、今日で走っているんですね(インタビューの収録は2022年9月末)。macOSも来月新しいOSが出ると思うのですが、そういうアップデートがあったときに社内で利用している端末がちゃんと動くのかという検証をします。社内で仕事をしてもらう環境を提供するのが僕たちのメインのお仕事でもあるので。一方で、新しいOSって世の中の技術的なトレンドにあわせて内部のスタックも変えてくるのですが、直近だとAppleさんの新しいチップセットだと仮想化基盤がうまく動かない問題もあったんですね。そうなるとユーザーに提供できない。提供できないのであれば、古い端末をどれくらい確保しているんだっけ?という在庫管理などもやっています。

すずけん:なるほどですね。それを1000台を超える単位で、「このバージョンが何台あって・・・」というのを日々やっていると。社内端末のリースのサイクルにあわせて、新しいOSをいれて、端末はどれにして・・・というのをやっているんですね。

石切山:スペックの低いパソコンで仕事をしていたら、例えばWeb会議みたいなものはできないですよね。画面も固まってしまうし、声も届かない。ユーザーにはやっぱり快適な環境で仕事をしてほしいので、そういう観点をいれながら端末選定をしています。

すずけん:いいですねー。

石切山:あとはもともとはリースだったんですけれども、最近は端末のセットアップの方法、ユーザーが使い始めるまでの方法を切り替えています。いままでは、管理者が社内仕様のパソコンとしての作り込みを、かなり時間をかけてやっていたんです。それを管理者は買ってくるだけにしました。買ってきて自社の端末管理の基盤に登録するだけで、その端末管理の基盤にユーザーのアカウント情報があるので、誰がこの端末を使いますという紐付けはログインしたタイミングで自動的にされるようになります。そのうえで、社内で仕事をするんだったらOSはこのバージョンに上げてくださいとか、社内で使うSlackは、そのパソコンに自動的に遠隔からインストールされますという仕組み。「ゼロタッチキッティング」と言われているんですが、これはWindowsOSでは今年から実装しています。macOSはこれからチャレンジする領域ですね。

すずけん:Windowsだと、「すずけん、これ新しい端末ね」ともらってログインしたら必要なツールがばーっと入っていて、M365にログインさえすれば使える状態になっているということですか?

石切山:そうですね。そもそもPCに入るアカウントもM365と同じものだったりしますし、Windowsのほうがブラウザでアカウント情報をいれる機会もすごく減っていると思います。あとは端末選定の時点で、Windowsは顔認証ができるようになっている。macだったら指紋認証。人間がパスワードをいれるタイミングをできる限り減らそうということです。そう考えると、すべての仕事がつながっていますよね。ひとつのポリシーにそっていろんなことを進めている。

すずけん:ユーザーからすると、実はひとつのポリシーにそってそれぞれ進んでというのは知らずに、シンプルにただ便利になっている感覚だと思います。

石切山:はい。でも、それでいいんです。より便利になればよくて、あまり僕らのことを意識してもらわないほうがいいなと思っています。

すずけん:ここ1、2年でいうと標準のWindows端末も変更してスペックをあげたりとか、かつ、ゼロタッチキッティングをいれて管理の容易性もあげたりと、端末の足回りというのはICT本部全体でも効率化されたということですよね。

石切山:そうですね。逆にそうじゃないと数千人規模の端末を管理するのは難しいと思っています。

すずけん:管理の容易性をあげながら、ユーザーも便利になってみんなハッピー。そういうものを改善のサイクルで取り組んでいくという。ちなみにWindows端末のスペックは社外にちゃんと出ていないので、出せるならちゃんと出したほうがいいと思いますね(笑)

参考: 2022年10月現在、Windows端末のスペックは次のとおりです。

CPU : Intel Core i7-1185G7 メモリ : 32GB ストレージ : 1TB

石切山:マイクロソフトの社員さんにも「このスペックを大規模導入しているのはうらやましいです」と言われますよ。

すずけん:「端末やばい、めっちゃいいですね」って社内でもみんな言ってますもんね。動きがサクサクでいままでの端末はうんぬんかんぬん・・・という。

石切山:そういう、ユーザーの声が聞こえてきたときにニヤニヤできる人がICT本部とか情報基盤チームには合っているかもしれないですね。楽になったとか、便利になったとか言ってもらえるとうれしいので。

金井:使いやすくなったとかそういう話を聞いたときは、よかったなと思いますね。うまく要望にそった形で実現できたということなので。

すずけん:いまの話は、求人の募集要項のところにいれてもらいましょう(笑)

動いているツールを置き換える難しさ

すずけん:さて。うれしい瞬間という話もでましたが、もう少し話題を広げて、この仕事のやりがいと難しさというテーマで基盤の切り替えの話を伺っていきたいです。実際に動いている認証基盤を切り替えるということの難しさを、これを読んでいるみなさんにもぜひわかりやすくお伝えできればと思うのですが。

石切山:認証基盤が切り替わるというのは、それに引きずられて別のアカウント体系を使わなければいけなくなるということです。ユーザーとしてはそれまで使っていたIDとパスワードの組み合わせから別のものに切り替えて、同じツールに対してもう一度ログインをし直してもらったり、そのタイミングでダウンタイムが発生したり、管理者側では権限の付け直しをしたりとか、お互いに負荷がかかることになります。

すずけん:なるほど。単純に認証基盤をAからBへ移すという話ではなくて、認証システムが変わる段階でユーザー側にも「こっちからはいってください」とアナウンスして、かつ、いま使っているサービスの入り口というか、ログイン方法も変えてもらわないといけない。ただ裏側だけの作業では終わるわけではない大変さがあるんですね。

石切山:はい。「入り口が変わる」というのはいい例えですね。同じ建物に入るにしても、入るためのドアと入り方が変わる。自動ドアなのか、手で鍵をふたつくらいあける扉なのか。

すずけん:いま認証基盤の切り替えについてのテクニカルな話をしているわけですが、実際に使っているユーザーはこのあたりの裏側の仕組みってほとんど知らないですよね。「なんかわかんないけど、こっちの仕組みでログインして、このパネルからポチッとしたらこのシステムにはログインできてるらしいぞ」というくらいの状態じゃないですか。シングルサインオンも知らないかもしれなくて。その説明というか「これはこういうものだから」と伝えていく仕事も情報基盤チームの仕事のひとつかなと思いますが、このあたりのユーザーリテラシーにうまく向き合っていく難しさみたいなものもあったりするんですか?

石切山:そうですね。もちろんエンジニア職ではない職種の方もいるなかでは、エンジニアの言葉で会話してしまうと通じないこともあります。なので、わからない人向けの説明機会というのも設けつつ、もうひとつの考え方としては、説明をしなくても画面を見ただけで使えるシステムをいれていくことですね。ツールの選定をする基準としては、難しすぎたりテッキーなものをできる限り避けるようにしています。画面の案内を見ればわかるものや、広く使われているツールを選定して、例えばCARTAへ転職してきた方が、元の会社でも使っているツールと同じだったら説明の手間が省けたりもしますし。

すずけん:オンボーディングの難易度もひとつ下がりますよね。「あ、これ使ったことあります!」「よかったです」となりますもんね。

石切山:そうですね。

すずけん:ここはひとつのポイントかなと思いました。「情報基盤」という言葉からイメージされることって、裏側の情報を握ってログとか見ているのかな、サービス提供してアカウント作っているのかな・・・ということだけになりがちだと思うのですが、実際のツール選定の段階から、ユーザーの使い勝手やサポートコストの低さも考えて選んでいく。そういう領域も情報基盤チームのやりがいですね。

石切山:はい。あとは最近のシビアな話として、いろんなライセンスが値上がりしていますよね。さらに、エンタープライズの世界でSSOを使いたいです、アカウントのプロビジョニングをしたいです、という話になると一個上のプランになりがちなんです。そういう環境のなかで、それらがどれだけ会社にとって有益なのか、ユーザーにとって便利になるのかを組み合わせて予算を取りに行くという仕事もありますし、実際にツールを入れたあとにインテグレーションを組んでいくのも僕らの仕事です。

すずけん:僕は石切山さんと「これもそろそろSSOいきましょう!」という話をよくしているので(笑)、そこはむしろCARTAとしてはやっていくぞというかんじで、あとは優先度を付けながらですね。

石切山:はい。とはいえグローバルに使われているツールであっても、会社のスタイル、自分たちのキャラクターに合うかということも大事ですね。僕が見ていると、CARTAの社員は他の会社に比べても様々なツールをハードに使いたおす人たちだなと思うので。その点では、かゆいところに手が届くツールなのかというのも選定基準に含めたりしています。

すずけん:ふむふむ、ありがとうございます。だいぶ情報基盤チームの仕事内容が伝わりました。

ICTの情報基盤チームで必要なこと: ユーザの課題を理解し、課題を解くこと

すずけん:情報基盤チームのなかで活躍している人というか、こういう動きが情報基盤チームをうまく動かしているとか、何かポイントがあったりするんですか?

石切山:ありますね。この場にいる金井さんがまさにそうで、ツールを選ぶという話がありましたが、それは結局ユーザーが何をしたいかを理解するということが必要なんですよね。ICT本部のなかにはヘルプデスクというチームもあって、社員がなにか困ったりツールの使い方がわからないときにはヘルプデスクに問い合わせをします。そのなかで技術的な問題があったら僕たち情報基盤チームにエスカレーションされてくるんですが、「これができません」という問い合わせがあったときに、それがなぜできなくなったのか、権限がないからなのか、操作をミスしているからなのか、ユーザーの課題を正しく理解して、問い合わせ者のレベルにあわせて問題の深掘りをしていかなければならない。そして、部署によってツールや管理者が想定していない使い方をしていることもあって、事業にあわせて調整していったり。つまりツールだけではなく、人や事業にも向き合うことが求められるのですが、金井さんをはじめ、その部分ができる人が情報基盤チームをうまく動かしているなと思っています。

すずけん:なるほど、なるほど。いわゆるプロダクト開発においては、これをカスタマーサクセスと呼んだりしますが、社内版カスタマーサクセスっぽい動きですよね。

石切山:そう思います。

すずけん:例えば「Google Meetを使いたいです」という場合はシンプルな話なのでいいんですが、今度は「ブレイクアウトルームを使いたいからZoomを使いたいです」と言われて、そこで「それはZoomじゃなくてもGoogle Meetでできますよ」と誰も返さなかったらそのままZoomが導入されるじゃないですか。まあ、それはそれでいいかもしれないんですけど、そこでGoogle Meetでできますよって言えれば、コストも下がりますし、ユーザーもすぐ使えるし、リードタイムもなくなるし、情報基盤の人たちの仕事も減るし。そういうのってカスタマーサクセスの仕事っぽいなと思います。ここでいうとヘルプデスクがメインの仕事ではあると思いますが、そのなかでも既存のツールでできないとか、どうしていいかわからない課題がエスカレーションされたときに、ちゃんと課題が蒸留されているというか、何が課題なのか分かっている状態だと情報基盤チームも助かるということですよね。

石切山:そうですね。マニュアルを読めばわかるものは公式のマニュアルを案内するのですが、いま言ったようにツールの使い方って事業と密接にあるところなんですよね。開発系のツールもそうですし、リモートが主体になってからはコミュニケーションツールやコラボレーションツールについても、社内から「これ使いたい」「あれ使いたい」といろいろ要望がありました。各大手のプラットフォーマーさんも、どんどん機能を導入・追加しているので、そういう方向にオフローディングしていったり、あとは社内も巻き込んで「ちょっとこれで試してみましょうか」と話しをしていったり。

すずけん:うんうん。とくにコラボレーションツールってひとりでテストするのが難しい。例えばホワイトボードのMiroとか、ひとりで触っているのと複数人で同時編集したときって全然違うよね、となる。CARTAにはいろんな事業部やチームがありますが「このツール、こんな使い方するんだ!」というのは僕が見ていても思います。だからこそ、それらのツールをどう選んで、どう使ってもらうかというのは、ただツール選定すればいいというのとは違う難易度を持っている話ですよね。

石切山:先日、CARTAの技術力評価会で利用するにあたって、スプレッドシートの同時編集の上限を突破したりもありましたが、利用する人数規模によって同時利用に耐えうるツールなのか?というパフォーマンスの観点からみていくのも面白いところではあります。

すずけん:そうですよね。例えば2000人以上で同時に使うとして、ツールのスペック上はOKでも本当にいけるのか?とかね。

石切山:「カクカクになります!」「じゃあ画面をオフにしてみてください」とか、追加で案内を出したり。そういう細かく考えなければいけないところも意外とありますね。

すずけん:そもそも実は同時じゃなくてもよかったりとかね(笑)。さきほど石切山さんから、どんなエンジニアが活躍しているか、どんな人がいたら嬉しいかという話がありましたが、ツールを選ぶとか使っていくというなかでの課題の深掘りやユーザーとちゃんと向き合える人がいると、情報基盤チームとしてはさらに仕事がしやすいということですね。

石切山:はい。単純にこれがやりたいです、という一時的なものだけを叶え続けていくと、管理しなければいけないものがすごく増えるので。そうではなく、課題の本質を捉えて、今ある手札のなかでどう解決していくのか、もしくは新規で何かを追加したほうがより使いやすくなるかという観点で考えられるとすごくいいなと思います。

金井:前回のITBPチームの話とも繋がってくると思うのですが、CARTAのなかでは、いろんなツールを使いたいという要望がけっこう出てくるんですよね。そのなかで、じゃあそれをどう使っていくのかというのはITBPがヒアリングして吸い上げて、情報基盤側と折り合いを付けていくのをやっていたりします。

すずけん:そうですよね。これはITBP側の話でも出ていましたけど、なぜツールが使いたいか事業部側しか知らない状態で降りてくるとICT本部としては、「いやなんか要望だけきたわ・・・」という構造になってしまいます。そこにITBPが埋め込まれていることによって、どういう課題があってツールをどう使ったらいいのか、情報基盤チームと隣同士ですぐに話せるというのは大きいですよね。

石切山:そうそう。ツールを使いたいんじゃないですよね。なにか困っているか、なにかを便利にしたい、課題を解決したいという思いがあって、結果としてツールを使いたいとなる。「これやりたいです」とだけくると背景が読めなくなりますが、そこはITBPに事業部のなかに入りこんでギャップを埋めてもらっています。

すずけん:これはプロダクトマネジメントとかソフトウェアエンジニアリングにかなり近くて、「このツールが使いたい、欲しい」だけじゃなくて、やりたいことは別にあるよねという。それがないと無限にツールだけが横に増えていく世界で、誰もハッピーにならない。

石切山:プロダクト開発でいうと新機能を作るという話にけっこう近いのかなと思いますね。

すずけん:ああ、そうですね。「その機能いる?」という。

石切山:要望された機能だけを入れるのではなく、これとこれをちょっとアップデートして組み合わせれば新機能じゃなくても便利に使えるんじゃない?みたいな。そういう意味だと普段の仕事のなかでもユーザーヒアリングをスキルとしてよりできるといいと思いますし。もっと社内の声も広く反映していきたいなと思っています。

すずけん:ありがとうございます。どんな人が活躍しているか?というところから、実際にITBPとの話も含め、かなり立体感を持ってICT本部の実態がわかってきたかなと思います。

こういう人にきてほしい

すずけん:最後に、情報基盤チームやICT本部として「こういう人に来てほしい、来たらこういうチャレンジができるよ」というところを教えてください。

石切山:はい。ここまで話してきたように、情報基盤チームが扱う範囲はプロダクトを作るよりも少し広いと思います。アカウントの話や、面白いところで言うと、オフィスのファシリティに関わる部分、たとえば入館ゲートや監視カメラの仕組みとか、すごく広い範囲の仕事ができるので、そういう観点では技術が好きな人が来てくれると素直に嬉しいですね。そして技術が好きで、正解のない答えを求めることができる人。ユーザーが本当は何をやりたいんだろうという深掘りを楽しめる人と相性が良いんだと思います。

すずけん:ありがとうございます。ぜひ、ICT本部や情報基盤チームでお待ちしています!

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