株式会社fluctのエンジニア長谷川です。
弊社はフルスクラッチで開発,提供をしているfluct SSPというプロダクト以外にも、Googleの認定パートナーとしてGoogleのプロダクトを利用したメディアのマネタイズのお手伝いも行っています。主なプロダクトはGoogle AdSenseやDoubleClick AdExchange, DoubleClick for Publishersです。
これらのプロダクトは非常に高機能な反面、効果的に活用するにはネット広告一般やプロダクト自体に関する高度な知識が不可欠です。そこでfluctがプロダクト運用のお手伝いをしています(詳しくはこちら)。
私のfluctでのミッションとして、Googleの商材の技術的なサポートというものがあります。具体的には…
- コンサルティングサポート
- お客様あるいは弊社コンサルのアイディアのフィジビリティ調査
- アドが出ないなどのトラブル対応
- 運用サポート
- レポーティングツール開発
- 広告運用のシステム化検討及び開発
コンサルティングサポートはお客様のアドテクに関する知識レベルややりたいことは多種多様であるため、相手の意図を正しく理解し、かつこちらの意図をいかに正しく伝えるかが重要となってきます。
このミッションに携わってほぼ1年近く経ち、ちょうどブログ記事を書く機会を得られたのでせっかくなのでこの仕事をする上で心がけていたことをメソッド集という体で書いてみたいと思います。
目次
- 目次
- メソッド1: 相手の話を自分の言葉で再翻訳する
- メソッド2: 目に見える形で共有しながら話をする
- メソッド3: 思考をまとめるための自分のベストツールを揃える
- メソッド4: お客様とのミーティングに同行し積極的に発言する
- メソッド5: 常に機嫌よくいる
- まとめ
メソッド1: 相手の話を自分の言葉で再翻訳する
以前同僚に「あなたは相手の意図を確認する習慣があって、それがとてもよい」と指摘されたことがあります。あまり意識せずにやってたのですが、言われてから意識的にやるようになりました。
「みんなではじめるデザイン批評」という書籍ではこれを「アクティブリスニング」と紹介されています。会話例がとても良かったので引用します。
アクティブ・リスニングには、受けたフィードバックに対してことばを返すときに、相手の話を別のことばに言い換えて繰り返すというやり方がある。そうすればフィードバックを与える側は、私達の理解と自分が伝えたいポイントとが一致しているかを確かめることができる。以下に例を示す。
製品のオーナー「スクリーン上のニュースフィードの配置が気になります。とても目立ちますが、実際に顧客がそれほどひんぱんに使うとは思いません。」
デザイナー「わかりました。私の理解が正しければ、心配なのは、あまり使われないかもしれないニュースフィードが注目を引きすぎて、ユーザーの注意が他のもっと重要な要素からそれてしまうのではないか、ということですね?よろしいでしょうか?」
製品のオーナー「はい、顧客の使用頻度の高いものに、より高い優先順位をつけられるよう、別の処理の仕方を検討するべきです。」
理解が正しくない場合は、さらに明確にするためにフィードバックを掘り下げる質問をすればいい。「ニュースフィードが目立つという心配について、もう少し詳しく説明していただけますか?」
あるいは、
「わかりました。その点をもう少し考えてみましょう。このまま目立たせておいたとしたら、どうなるでしょうか?」
(「みんなではじめるデザイン批評」 158ページより。一部編集)
アクティブリスニングは相手に対して「私はあなたの話を聞いています」という姿勢を見せると同時に話者の中でも理解できたこと、わからなかったことを整理するのに役立ちます。これは次節で紹介する「目に見える形」とセットでやっています。
メソッド2: 目に見える形で共有しながら話をする
人間、あれとこれを話そうと考えていてもいざ会話を始めると必ず漏れが発生します。それを防ぐには喋っている内容を即時文字にして目に見えるようにすることです。
- 起こっていること - XXで広告タグを追加設置したが広告が出ない - いつから - 昨日の夜ぐらいから - 誰が観測したか - メディアの閲覧者からメールで連絡があり、我々に問い合わせが来た - 現在もタグが貼られているので我々でも確認は可能
こんな風に、聞き手がテキストを起こすのと同時に、情報が足りない箇所や深掘りしたいところを都度質問していき内容を増強していきます。あとはこれをそのままissueトラッカーに貼り付ければトラッカーベースでやり取りしていけます。
この方法は特にトラブルが発生した時に以下のような効果があると思います。
- 一緒にトラブルを解決しよう、という姿勢により報告者を落ち着かせられる
- 余裕がない状況でも思考を整理できる
メソッド3: 思考をまとめるための自分のベストツールを揃える
自分の中で思考を目に見える形で整理する方法を確立しておきます。日頃から可視化するようにしておくと、前述の相手との状況の可視化をするためのトレーニングにもなります。これはデジタルでもアナログでも構いません。
なお、私はevernoteなどのメモツールを挑戦してみましたがどうしてもしっくり来なくてノート + ペン というオールドスタイルで落ち着いています。
弊社でよく目にするツールはこのノートとホワイトボードが一体化したノートです。ちょっとしたお話を図にして共有するのに使っているようです。
私はアピカの方眼紙のノートがお気に入りです。ノートに1500円…と驚く方もいますが、このノートは紙質がとても良くて、メモを書いてて気持ちが良いのです。
このようにキーボードの前に置いて、考え事する時はノートにひたすら書いて、コードを書いてるときはディスプレイを見てっていう風に仕事をしています。(実際にメモが書いてるページは業務内容そのままだったので真っ白のページにしています…)
メソッド4: お客様とのミーティングに同行し積極的に発言する
自社プロダクトをサーブしている会社だとエンジニアはなかなか表に出てこない存在になりがちですが、案件の難易度によっては自らお客様との打ち合わせに同行することを願い出ます。これは以下のような効果があります。
- 関係者が多い場合に伝言ゲームにならないようにすることができる
- 自分の中の経験を増やす効果がある
- 会社によってまるで文化や共通言語が違うことを体感し、コミュニケーションの仕方の手札を増やすきっかけとなる
- 勉強会だと文化が似ている会社の人が集まりがち
メソッド5: 常に機嫌よくいる
最後は精神論かよ…と言われてしまいそうですが、これが一番大事だと思います。トラブルが発生した!!って言う時もその状況を面白がれるぐらいのメンタルが欲しいです(ライトな雰囲気は報告してきた相手の気持ちも落ち着かせる効果があると私は思っています。)
- 優れた,面白いアイディアは機嫌が良い人に集まってくる
- 思いついたことを気軽にSlackに投入できてそれ面白いねって反応が出るぐらいだとよい
- 機嫌が悪いと「話しかけないでおこう」という雰囲気が出来てしまい、聞けば即時解決できたトラブルが後回しにされてしまう
- その結果また機嫌が悪くなるという悪循環
また、話を聞いた時にそれ前も同じことあったよね、と突っ返さないのも大事です。話しかけにくい、機嫌が悪いって思われて損です。トラブルが終わって落ち着いたときの振り返りにしれっと話してみるのがよいと思います。
まとめ
以上、1つ1つは小さなことかもしれませんがコミュニケーションを円滑にするためのあなたのヒントになればと思います。
この記事を読んで弊社に興味を持ったあなた、ポジションを用意してお待ちしております!もちろん、その他のポジションも用意しておりますので興味があったら是非ご応募を!(露骨な宣伝)